JR東で最も儲けているのは…
ただその一方で、筆者はJR東日本の運賃改定は妥当だと考える。
同社の発表した資料をもとに試算すると、首都圏を含む定期旅客輸送部門の収支があまり芳しくないと見られる。そのため、少なくとも同部門の見直しだけでも実施する必要があると考えられるからだ。
JR東日本が公表した「2025年3月期決算および2026年3月期経営戦略説明資料」の34ページに掲載された「旅客輸送量・鉄道運輸収入 実績」によると、2024年度に「定期券を利用した旅客」(以下定期旅客)から得られた鉄道運輸収入は4284億円、輸送人員に旅客1人当たりの平均乗車キロを乗じた旅客人キロは632億8400万旅客人キロであったという。1旅客人キロ当たりの鉄道運輸収入は14.23円となる。
同表には新幹線と在来線の定期旅客、それから定期券以外の乗車券を利用した旅客(以下定期外旅客)それぞれの数値が示してあった。さらに、在来線においては全体、関東圏、その他に分類されている。
それぞれについて1旅客人キロ当たりの鉄道運輸収入を求めた結果は図表1のとおりだ。
最高は「新幹線定期外旅客」の26.75円、最低は「在来線その他定期旅客」の6.00円となる。
なお、関東圏とは同社の首都圏本部、横浜支社、八王子支社、大宮支社、高崎支社、水戸支社、千葉支社の各管内の範囲でおおむね関東地方と考えてよい。
定期利用客が赤字を生んでいる可能性
こうなると新幹線、在来線、定期旅客、定期外旅客別の収支も知りたくなる。残念ながら、各部門の営業費をまとめた資料はJR東日本からは公表されていない。
だが一括となったものはあり、鉄道事業に関する営業費の詳細はJR東日本の「2025年3月期 決算短信」の24ページにある「4.個別財務諸表」の「(2)損益計算書」に記されている。
鉄道運輸収入という直接的な収益に対する損益を求めたいので、営業費に関しても直接経費を用いると都合がよい。ここでは運送営業費の1兆0795億円と一般管理費の2399億円との和の1兆3194億円を直接経費と見なした。
するとJR東日本全体では1旅客人キロ当たりの直接経費は10.61円だ。
大ざっぱな計算ながら、先ほど計算した1旅客人キロ当たりの鉄道運輸収入から直接経費の10.61円を引くことで、新幹線や在来線別、そしてそれぞれ定期旅客、定期外旅客別に直接的な損益が求められる。
こちらは図表2をご参照いただきたい。最高は新幹線定期外旅客の16.14円、最低は在来線その他のマイナス4.61円となる。何とマイナス、つまり赤字となっている部門は在来線関東圏の定期旅客も該当し、マイナス4.00円だ。



