東急は31.7%、JR東は50.5%

関東地方の大手私鉄の東急電鉄の場合、大人が10キロ乗車したときの普通運賃は230円で、このときの1カ月の通勤定期は9430円だ。割引率は31.7パーセントである。

地下鉄の東京メトロも見てみよう。大人が10キロ乗車したときの普通運賃は、鉄道駅バリアフリー料金の10円込みで210円だ。このときの1カ月の通勤定期の運賃は鉄道駅バリアフリー料金の370円込みで8170円となる。割引率は35.2パーセントだ。

実は今回の運賃改定後も通勤定期の割引率はほぼ変化がない。

山手線内、電車特定区間が統合された幹線では10キロ乗車したときの普通運賃が210円、1カ月の通勤定期が6240円であるので、割引率は50.5パーセントのままだ。

5割引前後という通勤定期の割引率は国鉄から引き継がれたもので、JR東日本に限らず他のJR旅客会社でも見られる。国鉄の鉄道事業は公共福祉の側面が強かったので、特に通勤定期の割引率は大きく設定されたのだ。

1970年代ごろまでは大手私鉄や地下鉄などの通勤定期の割引率も国鉄と同様であったのだが、新幹線という稼ぎ頭をもたないのでやがて経営が行き詰まってしまう。そこで、1980年代に入ると割引率の引き下げ、つまり値上げを実施していまに至る。

値上げに対してJRの回答

以上を踏まえ、JR東日本に対して筆者は今回なぜ運賃改定を実施したのか質問し、次のとおり文書で回答を得た。

質問1

今回の運賃改定において、新幹線や在来線の特急料金の改定を行わなかった理由はなぜか。

JR東日本からの回答
新幹線特急料金を含むその他の料金は、対抗輸送機関との競争関係等を考慮し、改定は行っておりません。実際のご利用場面では、新幹線特急料金のほか乗車券(筆者注、幹線の運賃)もお買い求めいただくことから、新幹線ご利用のお客さまにもご負担いただいていることとなります。

質問2

今回の運賃改定に当たり、通勤定期運賃の改定のみにとどめず、収支が比較的良好と推察される普通運賃の改定を行った理由について教えてほしい。

JR東日本からの回答
運賃改定により、必要な資金を安定的に確保し、安全・サービスの維持向上、車両・設備の更新、バリアフリー設備の拡充や激甚化する災害への対策などを着実に進めることで、すべてのお客さまの日々を支え、これまで以上に安全で快適な輸送サービスの実現、サービス品質や利便性の向上を図っていくことから、定期運賃に限らず、すべての運賃を改定いたしました(家計負担を考慮し一部通学定期運賃は据え置き)。

以上がJR東日本からの回答である。

筆者は通勤定期運賃の「割引率の引き下げ」(値上げ)だけを実施すればよかったのではと思うのだが、今後さまざまな投資が必要となるなかですべての旅客からなるべく公平に負担してもらおうという同社の意向が感じられ、それはそれで評価したい。