高血圧や動脈硬化、腎臓病など病気の原因に
特に多いのが、常用している薬の副作用です。たとえば、降圧剤や利尿剤のなかには、亜鉛の吸収を抑制して味細胞が作られるのを阻害する成分が含まれているものがあります。
薬剤によっては、唾液を減少させるものもあります。実際、高齢者の場合、薬の副作用による味覚障害は、3人に1人ともいわれているのです。
とにかく、年齢が上がってくると、普通に味つけしているつもりでも、ついつい塩分過多になりがちです。それが続けば高血圧や動脈硬化、腎臓病など、さまざまな病気の原因になりかねません。料理の際、みそやしょうゆ、塩などの量が増えていかないように、くれぐれも注意してください。
とはいえ、ただ薄味にしろと言われても、なかなかうまくいかないものです。そこでおすすめなのが、昆布やかつお節などでとっただしをしっかりきかせることです。
調味料が少なめでも、うまみがあり、おいしく感じられるはずです。
ただし、味覚障害には病気が隠れている場合もあります。耳鼻咽喉科で相談すると、味覚の程度を検査してもらえるので、気になる人は、一度自分の味覚を調べるところからはじめるとよいでしょう。
妻の料理に文句をつけた70歳男性の腎機能
そういえば、以前、腎機能が低下していると医師に指摘され栄養指導を受けに来た70歳の男性は、腎機能低下の原因が塩分のとり過ぎにもあることを知りませんでした。
奥さんが作る料理に「味が薄い!」と文句を言って、いつも自分でしょうゆや塩をかけて食べていたそうです。「腎臓って、悪くなるともう元に戻らないんですよね。妻に文句を言い続けて悪いことをしてしまった」と話されていたのが印象的でした。
どうか皆さんも、自分の味覚が衰えていくということを、頭の片隅でもよいので、覚えておいていただけたらと思います。


