中古の雛人形に需要がある
一方で、国内でも新たな需要が生まれているという。たとえば、雛人形。かつては女児が生まれたら、人形店で多段式の新品セットを注文するのが慣ならわしとされた。昨今は親王飾りと呼ばれる夫婦セットのコンパクトなものが人気で、デザインや風合いが良ければ中古品でも構わないという人が増えているそうだ。
「少し前までは『雛人形は海外へ』という感じでしたが、いまは試験的な意味合いも込めて国内向けでも出荷しています。求められるものはどの地域でも変化しますからね」
エステートセールは1970年頃の北米で誕生した私物の最終処分方法だ。第二次世界大戦後、北米でも大量生産と大量消費の時代に突入した。日本の団塊の世代にあたるベビーブーマー世代は世に流通する良いモノをたくさん所有したが、モノにあふれて育った子世代はモノへの関心が薄いうえ、すでに生家を出ている人も多く、継承されない親世代の持ち物が増加。そこで人生の晩年、あるいは死後に持ち物を処分する必要性が高まり、様々な品の市場価値を正確に査定して売買を管理する専門家=エステートセラーが誕生した。
遺族や家主がエステートセールの実施を決めると、エステートセラーは不動産やクルマ、家財道具、調度品、サブカルチャーグッズといった品々に値札を貼っていき、開催日を告知。すると近所の人や情報を得た人が集まり、早い者勝ちで持ち物が買われていくという流れだ。いわば、専門家を介したガレージセールの最終売り尽くし版といえる。
ひと粒のお米にも神さまが宿る国
堀川さんは1990年代にセントラル・オクラホマ大学に留学し、この新しいビジネスに従事した。そうして帰国後にエステートセールの普及を志す。ただし、北米流をそのまま踏襲するのではなく、モノには魂が宿ると考える日本人の価値観に合うようにアレンジを加えようと考えた。とりわけ重きを置いたのは売れた先の声を伝えることだ。出品した私物が買い手の手元に届くまでのやりとりをまとめたスクラップブックを作り、依頼者の元に届けるサービスを設立当初から続けている。
「ひと粒のお米にも神さまが宿っていると教えられてきた国ですから。大事に使ってきたモノが売れた先でも喜ばれて、大切にされている。そこまで伝えることがこの国では欠かせないと思っています」
故人が自宅に残した遺品を預かることもあれば、福祉施設に引っ越す際に荷物整理を手伝いながら、持ち込めない私物をエステートセールの対象として預かることもあるという。

