関東の“避暑の切り札”千葉・勝浦
とはいえ、関東で働くビジネスパーソンが「涼しいから」と沖縄へ移住するわけにはいかない。そこで近年、脚光を浴びているのが千葉・勝浦だ。
「過去100年間、一度も猛暑日を記録していない」という驚異的な実績がメディアで取り上げられ、移住相談者が急増しているという。
なぜ勝浦だけが涼しいのか。専門家によると、勝浦近海は水深が深く海水温が低いため、そこから吹き込む海風が天然のクーラーとして機能しているのだという。
関東で猛暑日を記録したことがない地点は、勝浦だけではない。群馬の草津や栃木の奥日光など、標高の高い地域であれば35℃を超えたことがない場所はある。ただ、冬になれば朝はマイナス10℃、日中でも氷点下という厳しい寒さが待っている。勝浦は違う。冬の平均気温は東京よりも高く、まさに関東のオアシスといえる。
だが、気象の観点で弱点がないかと聞かれれば、そうとも言い切れない。最大のリスクは「台風」だ。太平洋に直接面する勝浦は、進路次第では台風が勢力を維持したまま直撃する。頻度こそ高くないものの、このリスクを受け入れられるかどうかは考えておく必要があるだろう。
移住できない人が夏本番前にやるべきこと
避暑地の話をしてきたが、現実問題として、仕事や家庭の事情を抱えた多くの人は、今いる場所でこの夏を乗り切るしかない。
毎年のように異常気象の最前線で原稿を読み続けてきた私が、熱中症から命を守るために最も重要なことを一つだけ伝えたい。
「エアコンの電源を入れて動作確認をすること」だ。
あまりに月並みだが、意外と見落とされている。近年、かつてない猛暑により真夏のピーク時にエアコンが突然故障する事態が全国で頻発している。
40℃近い気温の中でエアコンが止まれば、命に関わる。しかも真夏に修理を依頼しても業者は手一杯で、復旧まで何日も待たされる。
断っておくが、私は家電メーカーの回し者ではない。ただ、壊れかけのエアコンを「まだ動くから」と使い続けるのは、命だけでなく財布にとってもリスクが大きい。
私の友人は昨夏、エアコンが故障して1週間ホテル暮らしを強いられた。インバウンド需要で高騰した宿泊費は、合計20万円を超えたという。それなら、壊れる前に買い替えたほうがいい。最新のエアコンは省エネ性能が上がっており、電気代の削減効果も大きい。命も財布も守る、堅実な選択かもしれないのだ。
「過去最高」「観測史上初」という言葉がニュースで繰り返される今、「これまで大丈夫だったから今年も乗り切れるだろう」という過去の経験則は、もはや通用しない。
近年の暑さは「災害級の猛暑」と呼ばれている。大雨や台風と同じように、猛暑からも涼しい環境へ「避難する」という意識を持ってほしい。



