「エルニーニョ=冷夏」なのに猛暑の見込み
今年の夏も猛暑になりそうだと伝えると「温暖化が進んでいるのだから当たり前だろう」という反応が返ってくる。そう片付けたくなる気持ちはわかるが、話はそれほど単純ではない。
温暖化とは数十年単位で平均して見えてくる傾向であって、数年単位の暑さとは別物だ。去年の夏の平均気温が平年比「+2.36℃」だったという事実は、温暖化だけでは説明がつかず、その年特有の要因が重なっている。
今年、温暖化以外の猛暑の要因として挙げられているのがエルニーニョ現象だ。エルニーニョ現象とは、赤道付近の海面水温の分布で決まるもので、世界中の天候に影響を及ぼす。日本では一般に「冷夏をもたらす」とされてきた。だが今年は、エルニーニョ現象の発生が予測されているにもかかわらず、猛暑が見込まれている。
気候変動でエルニーニョの常識が崩れたのかとも思ったが、まだそこまでは言えないようだ。今年の夏はエルニーニョが発生して間もない「初期段階」にあたる。そして実は、エルニーニョ現象の「発生直後」は、冷夏ではなく逆に猛暑になりやすいという厄介な特性を持っているのだ。記録的猛暑が始まった2023年の夏も、まさにエルニーニョ初期のタイミングだった。今年はその2023年と似た状況になりつつある。
猛暑日ゼロだった唯一の県庁所在地
気象庁はこれまで、25℃以上を「夏日」、30℃以上を「真夏日」、35℃以上を「猛暑日」と分類してきた。だが去年、全国のべ30地点で40℃以上を観測する事態となり、ついに今年から「40℃以上」の新名称を制定することが決まった。
「40℃時代」を迎えようとしている今、猛暑日(35℃以上)はもはや、全国どこにいても逃れられない。去年のデータを見れば一目瞭然だ。
名古屋52日、大阪45日、東京29日。涼しいイメージの長野でさえ28日、札幌でも2日を記録した。そしてとくに過酷だったのが京都の61日。約2カ月にわたって35℃以上の猛暑となったのだ。
ところが、この灼熱の日本列島で、都道府県庁所在地として唯一「猛暑日ゼロ」だった街がある。
沖縄県・那覇だ。
「真夏に沖縄に行ったら、東京より涼しかった」
そんな体験談を聞いたことがあるかもしれない。それは嘘ではない。沖縄は年間の平均気温こそ高いが、35℃を超えるような極端な暑さにはなりにくい。四方を海に囲まれ、海風が絶えず吹き込む。起伏の小さい地形のためフェーン現象が起きづらく、ヒートアイランドの影響も限定的だ。環境省がかつて公開した「2100年の天気予報」でも、8月は北海道から九州まですべて40℃以上の気温が並ぶ中、唯一那覇だけが30℃台となっている。
「沖縄の夏は過ごしやすい」そんな常識が広まるのも、時間の問題かもしれない。


