若手社員による社外秘書類のSNS投稿が問題となっている。東北大学特任教授で人事・経営コンサルタントの増沢隆太さんは「今回の炎上を『最近の若者は理解できない』で片付けるのは根本的な解決にはならない。相次ぐ機密漏洩の裏には、見過ごされてきた経営の盲点がある」という――。
SNSを利用する人のイメージ
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SNS漏洩を防げない経営マネジメントの壁

新年度が始まったと同時に、新入社員など若手社員によるSNSでの機密漏洩や不適切投稿といった炎上事件が、4月の1週間足らずの間に相次いで発生しました。これまでもアルバイト社員による「バカッター行為」がありましたが、今回の騒動はこれまでの「バイトテロ」と一線を画しています。

かつては、飲食店などの現場作業員中心だったのと比べ、日本テレビのような大手テレビ局や、三菱電機グループといった本来ガバナンスが機能しているはずの大手企業の内部で続発しているということです。

これは「リテラシーの低い若手個人のやらかし」では済む次元の問題ではなく、組織の在り方が、そして経営層のマネジメント能力そのものが問われる経営責任の局面であると考えます。

この4月にネットニュースやSNSを騒がせた事例を振り返ると、その異常性が際立ちます。

・日本テレビ情報番組「ZIP」制作スタッフによる番組情報流出:放送前の番組内容や内部情報を、制作側の人間がSNSに投稿

・三菱電機グループ企業で新入社員が社内書類を投稿:研修中と思われる新入社員が、社外秘の書類を撮影してSNSに公開

・大手外資系コンサル企業社員による業務画面の映り込み:美容院での施術中にPCを開き、業務内容が映り込んだ状態で「自撮り写真」を投稿

ネットの常識が通用しない若手世代

身もふたもない言い方をするなら、大手企業のビジネス空間にも、こうした行為に及ぶような者が入ってきているということです。もはや「わが社の社員は優秀なので、こんな愚かなことはしない」と言い切れなくなったと言わざるを得ません。

なぜ、本来なら「優秀」とされる彼らが、これほどまでに致命的な失敗を犯すのでしょうか。その背景には、経営層と若手社員の間にある、埋めようのない「常識の断絶」があります。

今回のような投稿は、BeRealやInstagramストーリーズ、X(旧Twitter)の鍵アカウントなどの「身内だけ公開」だったり、一定時間で消えてしまうメディアにおいて行われています。このような新たなメディアなどへの感度は、若い世代のほうが高そうです。

しかし時間や対象が限定されていたとしても、画面のスクリーンショットを撮られれば終わりです。画像にされたら、それをさらに他に転送もできます。ネット上にプライバシーなどないことはもはや常識ですが、そんな常識があれば考えられないはずの、業務上の秘密を公開するという行為が実際に存在し、続発しているのです。