研修を「ルーチンワーク」と捉えていないか

教育研修とは、正にそのためにある機能ではないでしょうか。新人研修や階層別研修、ハラスメント研修……と、人事が「ルーチンワーク」でやっているというような認識はありませんか。教育研修は、こうした環境変化に組織を適合させるための、積極的な経営方針を共有化するための、戦略的なマネジメントだと考えます。

新入社員研修
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その際に一方的な経営側の主張をインプットするのではなく、教育を受ける社員を理解することも欠かせません。多様性や個性を尊重するという名目で、何でもかんでも社員の言い分や希望を通す必要もありません。認識や感覚の違いは必ずあるものです。

違っていても、経営戦略として研修を戦略的コミュニケーションへと昇華させること。教育を受ける側の認識とすり合わせを行い、会社のプリンシプル(原則)を「なぜ今、守るべきなのか」という文脈で語ること。それが、組織を環境変化に適応させるための、きわめて有効かつ必須な手立てです。

結局のところ、新入社員の暴走は、組織が「対話」というコストを惜しんできた結果、支払わされることになった「ツケ」なのかもしれません。

高コストな対話こそが最強のリスク管理

社員の中からモンスターが生まれたのは、個人の未熟さだけでなく、形骸化した研修や一方的な価値観の押し付け、何よりはれ物扱いのような「放置」をしてきたことが原因だといえないでしょうか。

炎上事件を起こした若手社員にはおそらく悪気はありません。ただ、愚かにも行動の結果への想像力があまりにも欠如していたのだと思います。機密漏洩という認識すらなく、「日常の切り取り」や「映え」と呼ばれる自己承認欲求を満たすことが、職場や仕事にまで浸食している「公私の境界線の消滅」というだけのことなのではないかと思います。

経営者とその方針を具体化する管理職は、言語化によってメッセージを発することはもちろん、相手の視点に立ち、理解する姿勢を惜しまず、対話を続けること。教育研修は、単なるスキルの伝達ではなく、組織のプリンシプルを周知させ、行動変容の場とすべきだと思います。

DX(デジタルトランスフォーメーション)やAIによる価値転換の荒波が押し寄せ、どれほど技術が進歩しても、組織を動かし、守るのは「人」です。

泥臭くとも、「対話」という、一見すると高コストで非効率な積み重ねこそが、組織と若き才能を炎上から守り、真のガバナンスを構築するための最強の防壁となるはずです。今こそ経営者は、形だけの研修を捨て、若手社員との「真の対話」に踏み出すべきではないでしょうか。

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