おもてなしが裏目に出る高級リゾート

悲しいことではあるが、「日本の地方にはいいホテルがないから行きたくない」と嘆く海外富裕層の声も聞く。

スキー場でいえば、志賀高原や野沢温泉、蔵王温泉などは、ニセコや白馬に匹敵、時に凌駕するようなスケールや景観および雪質を有しているものの、エクスペディアなどホテル予約サイトで検索しても「馴染みの」ホテルを見つけられない。旅行先の選択肢から外れる一因になってしまう。

野沢温泉
写真=iStock.com/gyro
※写真はイメージです

なぜ、「おもてなし」に優れた日本のホテルや旅館よりも、外資系高級ブランドホテルが優先して選択されているのだろうか。それは海外富裕層を含むインバウンドが日本独自のサービスではなく、グローバル・スタンダードなサービスを求めているからだ。

前述した「何もしない贅沢」など、海外富裕層のニーズを的確につかむことが必要不可欠だ。アスペンやクールシュベル、ハワイやモルディブ、コートダジュールなど並み居る世界的な観光地・リゾート地は、こうした顧客のニーズを的確に捉えるノウハウがある。

もし日本のリゾートがそれを目指すのであれば、闇雲に「おもてなし」するのではなく、彼らの性格やライフスタイルをよく理解しておく必要があろう。

サラリーマン経営が日本をダメにする

日本企業においても、東京証券取引所からのPBR改善要請、「物言う株主」であるアクティビストの台頭などを背景に、「資本コストや株価を意識した経営」に変わりつつある。しかしながら、相場が下落すると一斉に保有資産を損切り、景気が下向くと一斉に投資計画を中止し、思考停止してしまう、リスク回避志向のサラリーマン経営的な日本の機関投資家や上場事業会社がまだまだ多い印象だ。

それは一方で、「資本コストや株価を意識した経営」が浸透しており、ビジネスライクにリスクを取りながら最大限のリターンを得るため、プロフェッショナルな経営に徹する海外の投資家や事業会社にとって、相場の下落局面や不景気は、むしろ絶好の買い場であり、開発を進めるチャンス、と見るのだ。

そのぶん、経営責任が重くシビアな人員整理もある世界ではあるが、決断力(権限移譲と相応の報酬と責任)と資金力にも裏付けされており、外資と日本との経営思考や組織の差異が如実に表れているといえよう。「この先更に景気が悪くなったらどうしよう」「もし、金利が高騰したらどうしよう」などとリスク要因を挙げていけばキリがない。

価格変動リスク、インフレリスク、景気リスク、為替リスク、地政学リスク、地震や自然災害のリスク、クレジットリスク、流動性リスク、税務リスクなどなど。釈迦に説法であるが、投資や開発においてリターンがあれば、当然それ相応のリスクもある。