中卒と大卒の生涯収入の差は数千万円以上

この学歴の差は、当然ながら社会に出てからの「所得格差」に直結します。著者のグループが2014年に行った研究では、日本におけるこの経済的損失を具体的に計算しています。

当時の推計では、最終学歴が中学校卒業と大学卒業では、生涯収入に数千万円単位の差が生じることが示されました。実際、先ほどの大学卒業者についての調査でも、ACEsスコアが高いグループは、世帯年収が400万円未満の割合が有意に高く、経済的に不安定な状況にあることが確認されています。

ACEsは、逆境による脳機能への負荷(集中困難、メンタル不調)→学業の中断・低学歴→不安定雇用・低所得というドミノ倒しを引き起こします。これが、「貧困が貧困を生む」と言われるメカニズムの正体の1つです。