偏差値3の違いは“誤差の範囲”

また、早稲田大学のように非常に多くの受験生を一般選抜に集める大学であれば、比較的正しい推定ができますが、小さな大学になるほど受験生が少なく(それだけ模擬試験を受験した生徒数も少なくなりますので)、推定は不明瞭になるはずです。

そして、このような割り当てをするのであれば、微妙な偏差値(1から3くらい)の違いは、ほとんど「誤差」の範囲になってしまうのではないかとも思います。偏差値が「5」くらいの差であればあまり気にせず、受験にチャレンジしてみたほうがいいのではないかと個人的には思います。

小塩真司『「数値化」中毒 なぜ手段が目的に変わるのか』(PHP新書)
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さらに言えば、今回割り当てた「大学学部・学科」と「偏差値」の結びつけは、「翌年の模擬試験に使われる」のです。模擬試験の結果と本番の結果を照合した段階では、すでに受験は終了しているのです。

ですから、ここで結びつけた情報は、翌年に「○○大学の偏差値はいくつ」として利用されていくのです。ここが、模擬試験に基づく受験偏差値の利用方法の面白いところなのですが、「面白い」と思っている人は多くないかもしれません……。

実際、翌年の入試の試験内容がどうなるかは、まだ誰にもわからないのです(大学の試験問題はとても厳重に管理されていますし、この段階ではまだ次年度の入試問題は作成されていないでしょうから)。それなのに、前年度の偏差値と合否結果を照合した情報を、翌年に利用するのです。

偏差値が覆い隠す教育の価値

偏差値が進学指導や受験の判定に用いられるようになったのは、1950年代だったようです。その後、予備校や塾での偏差値の利用が広まり、そのうち受験生個人の集団内の位置を表現するだけでなく、偏差値が「受験をする学校・大学」に結びつけられ、あたかも学校・大学の評価であるかのように使われるようになりました。

模擬試験と偏差値がなければ、受験生は自分の位置づけがわからず、やみくもに受験してしまうかもしれません。偏差値という数値を利用することは、教育を合理化し、受験の公平性を高めるという点では、一定の社会的意義をもちます。

しかし、偏差値というひとつの数値だけが絶対的な社会的評価に結びつくことで、教育が本来目指すべき多様な価値が見えにくくなっているのも事実ではないでしょうか。

教室で試験を受ける学生
写真=iStock.com/sengchoy
※写真はイメージです
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