イスから立ち上がれないと余命半年

人間は、歩けなくなる前に立てなくなります。歩くのに必要な筋肉のひとつが、膝上にある大腿四頭筋で、これが「立ち上がりの筋肉」です。イスから立ち上がるにも、腕の力を使って立ち上がる、腕を使わないでひょいと立ち上がるという2種類があります。イスから腕の力を使わずに立ち上がれる方なら、余命1年以上。まったく立ち上がれない方は、おおむね余命半年以内。

杖をついて立ち上がろうとする高齢男性
写真=iStock.com/mapo
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僕は患者さんにまず立ち上がってもらい、どう動くかを見ます。そして、ゆっくりでいいので、連続で何回立ち上がれるかを数えます。6回立ち上がれる方だったら、「6回が7回になったら寿命が延びたということ。逆に、6回が4回、3回……と減ってきたらカウントダウンですね」という話をします。

筋肉は使わないとどんどん衰えてしまいますから、気力があるうちにできるだけ歩くことが大事なのです。患者さんには、「膝の上の筋肉があなたの寿命を決めます。俺に聞かないでも、自分で分かるからね。だから歩き続けましょう」と伝えています。

立ち上がれない人もリハビリで…

歩くためのリハビリは、一人につき一人の介助者が必要で、介護施設は職員の数の方が少ないため、「歩かせる練習がなかなかできない」という声を聞きます。でも実は、大勢の高齢者で一斉にできるトレーニングの方法があるんです。テーブルをつかんで椅子に座り、「じゃあみんな、始めるよ~、いーちっ。にーいっ」と、職員の掛け声に合わせて立ち上がるリハビリです。身体が後ろにひっくり返らないようにだけ気を付ければ、10人でも20人でも同時にトレーニングすることができます。

それを定期的にやっていると、最初は1日に10回立ち上がるのがやっとだった人も、次第にもっと立ち上がれるようになり、歩けなかった人が1日に100回立ち上がれるようになった頃には、歩けるようになっているはずです。