経済成長戦略や国際競争戦略の柱に

高市政権が核融合に力を入れていることのもう一つのエビデンスは、政府の成長戦略や国家戦略に核融合が組み込まれている点です。

政府は2023年頃から、核融合や量子技術を含む「次世代エネルギー・産業化戦略」を策定し、核融合発電の実用化を早めるための政策パッケージをまとめています。これには、研究・開発費の拡充だけでなく、関連する産業の育成、国際協力の推進、規制整備、公共投資の仕組み化などが含まれます。

核融合発電は単独の科学プロジェクトではなく、社会インフラや産業構造の根幹にかかわる国家プロジェクトとして位置づけられているのです。 

高市政権が核融合を重視する背景には、日本がエネルギー資源の乏しい国であり、エネルギー自給率の向上とエネルギー価格の安定化が喫緊の課題であるという現実認識があります。

四日市市工場夜景
写真=iStock.com/44kawa
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石油や天然ガスに頼らないエネルギー基盤の構築は、日本経済の持続可能性を高めるだけでなく、国際的な技術競争力を強化する意味も持っています。

高市政権は核融合を単なる研究テーマではなく、経済成長戦略や国際競争戦略の柱として位置づけていると言えます。それは、政治リーダー自らが研究現場を訪れ、研究者と対話し、政策立案に反映させるという具体的な行動にも表れています。

こうした政治の動きは、核融合が日本社会にとって単なる未来の夢ではなく、比較的近い将来に実際のエネルギー供給や産業の中核技術となる可能性を示す重要なサインでもあるのです。

民間投資を呼び込むうえで決定的に重要な視点

高市早苗氏が核融合を重視している点は、単なる発言や理念にとどまりません。政府が実際に策定してきた成長戦略、科学技術・イノベーション政策、経済安全保障政策を見ていくと、核融合が「将来検討課題」ではなく、「投資対象として位置づけられ始めている」ことが読み取れます。

近年の政府文書では、量子技術、AI、半導体、宇宙と並び、核融合が「国家として押さえるべき基盤技術」として扱われています。特に重要なのは、核融合がエネルギー政策だけでなく、産業政策・安全保障政策と結びついて語られている点です。

これは、電力をつくる技術としてだけではなく、装置・材料・制御・燃料循環といった周辺分野を含めた「産業のかたまり」として認識されていることを意味します。

予算面でも、核融合関連は従来の学術研究費の枠を超え始めています。令和7年度補正予算では、核融合関連の予算は1021億円に上っています。QSTを中心とした基幹研究費に加え、民間との連携を前提とした実証研究、スタートアップ支援、国際共同研究に資金が回り始めています。

これらは、単年度の研究成果を求める予算ではなく、中長期的な社会実装を想定した性格を持っています。高市氏が繰り返し強調してきた「成長戦略としての科学技術投資」という考え方が、ここで具体化しつつあると言えるでしょう。

また、規制や制度設計への言及が増えている点も見逃せません。核融合は従来の原子力(核分裂)とは安全性やリスク構造が大きく異なりますが、日本の法体系は長く「原子力=核分裂炉」を前提に構築されてきました。

高市氏は、技術の実態に合ったルールづくり、すなわち「核融合を核分裂と同じではなく、核融合として扱う制度整備」の必要性を早い段階から示唆してきました。これは、民間投資を呼び込むうえで決定的に重要な視点です。