年金生活者に対する配慮がない
始めに述べたように、公的年金だけでは老後は暮らしていけないことはすでに日本のコンセンサスになっている。さらにその状況にインフレが拍車をかけている。
その状況で、現役時代にためた資産を現金化して生活費を補うのは当然の自衛行動だが、政府はそれにも負担増を強いようとしている。75歳以上の老人は富裕層だけではないのだ。また、政府主導で「貯蓄から投資へ」と旗を振りながら、運用の出口に実質的な増税(社会保険料上乗せ)を課すのは、投資意欲を削ぐ極めて矛盾した政策である。
今まで挙げた問題は、すべてが社会保険制度の設計が極めてずさんであることに起因している。消費税に財源を求めたり、今回のようなその場しのぎの一時的な修正を続けてきたことの“つけ”が回っている状態に過ぎない。
改正の前に、社会保障制度をイチから設計し直して確固たる方針を立てる必要があるのではないだろうか。

