濃厚接触者には抗生物質を提供

侵襲性感染の約8割はB群の髄膜炎菌。英国では主に2種類のワクチンが使用されている。4CMenBワクチンは生後8、12、52週に接種され、B群の髄膜炎菌から身を守るが、B群すべての株をカバーしているわけではない。B群以外はMenACWYワクチンで14歳前後に接種される。

侵襲性髄膜炎菌感染症が発生した場合、発症前の7日間に同じ家で長時間一緒にいた濃厚接触者に抗生物質が提供される。病院搬送で飛沫や呼吸器の分泌物に直接さらされた人にも提供されることがある。複数感染が確認された場合にはより広い範囲の接触者に抗生物質が提供される。

「感染者の友人や家族にとり大切なのはその人が感染している可能性に気づき、すぐに医療機関で受診させること。早期治療が命を救うが、発症初期での診断は非常に難しいのが現状だ。最初は軽い症状でもアッという間に悪化し、数時間以内に死に至ることもある」(ハンター教授)

感染拡大の背景にワクチン接種の「空白」

注意すべき初期症状としては高熱、首の痛みや硬直、光がまぶしい、混乱、ぼんやりする、ガラスを皮膚に押し当てても(グラステストでも)消えない独特の発疹が挙げられる。少しでも心配な場合はすぐに医療機関で受診した方がいい。

ワクチン接種の「空白」も感染拡大の背景として指摘されている。英国では2015年からB群髄膜炎菌(MenB)に対するワクチンが乳児への定期接種に導入された。しかし現在の大学生世代の多くはこの対象外で、MenBへの免疫を持たない若者が相当数いる。

英バース大学のアンドリュー・プレストン教授は「10代へのMenACWYワクチン接種率も約73%にとどまっており、学生の規模を考えると、未接種の学生が非常に多い」と懸念する。慈善団体「髄膜炎ナウ」は10代・若年成人へのMenBワクチンの公費接種を求めている。

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
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