JR東日本「キュンパスは移動のきっかけ作り」
こうした自社完結型のサービスの推進については積極的に見える一方で、青春18きっぷのような、JR旅客6社を横断的に利用できるサービスについては縮小傾向にある。青春18きっぷは、2024年冬の利用分から、それまで期間内の任意の5日間利用できるというルールから、期間内の「連続する3日間」または「連続する5日間」利用に変更され、SNS上では「改悪だ」と騒ぎになった。実際、こうした利便性の低下を受けてか、2024年度の販売枚数が約42万枚と、前年度の約62万枚から3割以上も減少している。
JR東日本は閑散期における格安サービスについて、どのような狙いを持っているのか。質問を行ったところ以下の回答が得られた。
「キュンパスやタイムセールについては、移動のきっかけ作りを行うことで、列車の利用促進だけではなく、お客様の移動と消費をつなぐ体験価値を向上させることで、目的地となる地域の活性化などさまざまな目的をもって設定しています」
旅客輸送に捉われない新幹線物流サービス「はこビュン」
こうした「移動」の枠を超えた取り組みの先に、JR東日本は中長期ビジョン「ライフスタイル・トランスフォーメーション(LX)」の創造を掲げている。社会課題に向き合い、生活様式そのものを革新するというこの概念を、最も分かりやすく具現化しているのが、新幹線物流サービス「はこビュン」だろう。
これは、新幹線を単なる旅客輸送の手段から、社会を支える「高速物流インフラ」へと再定義する試みだ。1編成を丸ごと荷物専用に改造した車両が、鮮度が命の生鮮食品や、高度な品質管理が求められる精密機械・医療用品、さらには献血の血液といったものまでを正確なダイヤで運んでいく。
深刻化する物流ドライバー不足という「2024年問題」への解を示しつつ、地方の特産品を鮮度を保ったまま大消費地へ届ける。この既存アセットの多機能化こそが、同社の目指す「LX」の正体といえる。

