「無農薬だから安全」という幻想

一方、特別栽培農産物は、地域で通常使われる農薬の成分使用回数と化学肥料の窒素成分量について、それぞれ5割以下に削減した農産物を指します。

地域で通常使われる「慣行レベル」は、都道府県など自治体が農作物や栽培型に分けて決めています。たとえば、ほうれんそう春まきは慣行の農薬使用回数が10回、10aあたりの化学肥料施用量15kg……という具合です。この場合、農薬使用回数が5回以下、化学肥料が7.5kg以下であれば、「特別栽培農産物」を名乗れます。

品川区はこれらも含めて「オール有機野菜」と言っているのです。実際には、施行した10月、11月のさつまいもは、「おもに特別栽培を使用」でした。オール有機、オーガニック給食、というと、多くの人が「無農薬だから安全」というイメージを抱きますが、ほど遠いのです。

野菜
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品川区に取材を申し込んでも無回答

これらについて、区長室戦略広報課宛てに、区長インタビューの申し込みをしました。区長が難しければ、副区長か担当課の課長に話を聞きたい、文書回答でもよい、と書き添えました。事業の効果(おいしいという感想が増えた、安全性が上がったなど)や浮上した課題、有機農産物と特別栽培農産物の使用割合など、質問項目も提出しました。

一番気になったのは、「区長・教育長とPTA会長との意見交換会」で出た「量が少ない」という話です。「学校給食摂取基準」により、児童や生徒の1人1回あたりの摂取栄養素の基準が決められています。弾力的な運用が求められ、1回不足したから大問題、というわけではありません。

しかし、オーガニック等の導入により満たさない日が増えれば、健康への影響も懸念されます。不足が発生した校数、回数や、摂取量がどの程度減ったのかを、区や区教育委員会が把握しているのか、対策を講じているのか、知りたいと考えました。

しかし「区議会会期中のため、調整が難しい」という理由で、回答は返ってきませんでした。「量が少ない」という声に対して、だれも説明しようとしない。これは、不誠実な対応と言わざるを得ません。