褒めるポイントの見つけ方
褒め言葉のバリエーションが広がらない原因としては、相手を見る角度が固定化されてしまっている「視点不足」もあります。
これは「南の島のセールスマン」という有名な寓話です。
ある靴メーカーが南の島にセールスマンを2人送りました。
Aさんは本社にこう報告します。
「この地域では誰も靴を履いていない。市場はない」
しかし、Bさんはこう言いました。
「この地域ではまだ誰も靴を履いていない。無限の可能性がある!」
同じ状況を見ていながら、見方一つで「絶望」と「可能性」に分かれました。これは褒める行為につながる視点の話です。
Aさんは不在にフォーカスしました。「ないもの否定」です。
Bさんはこの先の可能性に着目しました。「あるもの肯定」です。
この異なる2つの視点を理解することが、褒めるポイントを見つけるうえで重要です。視点を「あるもの」に向けることで、褒めのレパートリーは飛躍的に増えます。
「ないもの否定」か、「あるもの肯定」か
褒め言葉が枯渇する場面の多くは、「この人はまだ○○ができていない」という「ないもの否定」の思考に陥っているときです。
使い古されたたとえですが、コップの水が「もう半分しかない」と捉えるか、「まだ半分もある」と捉えるかでいうと、褒められないのは、なくなった半分の水を見ている状態です。
しかし完璧な人間などいないので、不足は際限なく現れて、観察者も当事者も疲弊してしまいます。
そこで視点を転換してみましょう。たとえば新人が提案書を期限ギリギリまで出さなかった場合。「納期意識が低い」と断じる前に、「最後までこだわる粘り強さがある」と、そこにある強みを抽出し、そこを起点に改善点を一緒に設計しましょう。
もちろんこれは簡単なことではありません。大学時代にコミュニケーションのクラスでこんなワークショップをしました。教授が広告、絵画、ポスターなどさまざまなビジュアルを見せて、それに対する欠点を思いつく限り出し合います。
いわゆる揚げ足取りや粗探しなども含まれます。次にとにかくポジティブな解釈で、褒めることにトライします。両方やってみると、悪口のほうが圧倒的に簡単だとわかります。
褒める箇所を探すのはとてもクリエイティブな作業で、難易度は高い。だからこそ、価値があるともいえます。


