飛躍的に人を育てる「視点」とは
相手を褒める際は、今この瞬間だけで判断せずに、その人の「過去からの歩み」や「未来への可能性」を含めて、時間軸を動かして見ていくことが大切です。
すでに本書『できるリーダーはどこを「ほめる」のか?』でも「垂直承認」「未来褒め」として紹介してきましたが、過去や未来への視野と共に相手を観察することで、その成果がどんな背景から生まれたのか、この先どのような影響があるのかも見えてきます。
たとえば、何度もミスを重ねたメンバーがついに成功を収めたとき。「あの失敗があったからこそ、今回うまく対応できたんだね」と声をかければ、過去の失敗が「今の成果を作った材料」として再定義されます。
過去を肯定的に捉えるこの視点は、自己肯定感の修復にもつながる褒め方です。次の失敗も恐れなくなり、飛躍的な向上を見せる人材へと成長することになります。
目の前の出来事を「どこから来たか」「どこへつながるか」と時間軸で見通す視野の広さが、褒め言葉をより効果的なものにします。
視野を変えてくれる3つの広がり
たとえば、Aさんが営業目標を達成したとしましょう。Aさんを褒めてみてください。
次に、もう少し情報を追加します。実はAさんは仕事と家族の介護を両立していて、残業を避けるため朝5時に起きて営業資料を作っていました。あらためてAさんを褒めてみてください。
同じ褒めでも、背景を理解することで、表現ががらりと変わったのではないでしょうか。
人は結果だけを見れば、成功か失敗かの二軸だけで判断しがちです。しかし、その背後には必ず「物語」があります。相手の立場や状況に思いを寄せること。つまり、その人がどんな経緯をたどってきたのか、どんな想いでその行動を選んだのかという背景や文脈を見守る視野の広さが大切になります。
逆に視野が狭く、結果しか見えていないと、相手の失望を招きます。「見てくれてない」「自分に興味がない」と感じさせてしまうことは、マネジメントとして信頼関係の構築ができていないことになります。
空間、時間、文脈。3つの広がりを意識して、視野を広く持つことを心がけてみてください。

