警察庁の調査によれば、子供の連れ去り事件の8割は強引な拉致ではなく、言葉巧みにだまして連れて行くケースである。犯人にとって黄色い帽子は、最もだましやすい低学年であることを知らせる看板になってしまっている。

また、犯罪者は子供が複数でいるときよりも、一人でいるときを圧倒的に好む。この点を理解するために、アフリカのサバンナに生きる草食動物の戦略が参考になる。シマウマは群れになることで模様が重なり合い、一頭一頭の輪郭を曖昧にすることで、肉食動物にターゲットを絞らせない。子供も同様であり、一人で歩く黄色い帽子の子は、犯罪者の目に強烈な存在感として飛び込んでくるのだ。

南アフリカのリスク・マネジメント専門家クレイワーゲンは、草食動物のサバイバル術の核心は「早期警戒」にあると説いている。肉食動物をいち早く察知できれば、生存率は格段に上がる。同様に子供にも、周囲をよく見る習慣を付けさせることが重要だ。一人で歩く際も、誰かについてこられていないか、すぐそばに車が止まっていないかを意識するトレーニングが大切だ。

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
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