「損をしたくない」気持ちが起こす行動
損をしたときにリスクの高い選択をしてしまう「反転効果」
「反転効果」とは、儲けの領域では「リスク回避的」であっても、損失の領域では「リスク追求的」になることをいいます。目の前に利益があるときは損失を回避する行動を取り、損失があるときはリスクを負ってでも損失を取り戻す行動を取る傾向にあります。
プロスペクト理論の喜びと悲しみのイメージの図表2でも、100万円をもらった場合の喜びはできるだけ手放したくないですから、リスクをとらないようにします。とりあえず、いったん落ち着いて次の投資のことを考えるでしょう。
しかし、100万円損した場合は、その損失を取り戻すためにイチかバチかの投資をしてしまう可能性があります。何しろ、損失の悲しみは利益の喜びの2〜2.5倍です。取り戻そうという気持ちも強いものがあるでしょう。
しかし、イチかバチかの投資はリスクの高い投資になっていることが多いものです。加えて、「イチかバチかの投資」であることと「投資がうまくいくこと」の間には何の関係もないのですから、無理をしてさらに損する可能性が高いでしょう。
人気がさらなる人気を呼ぶ「情報のカスケード(バンドワゴン効果)」
損をしたくないからこそ、周囲の多数派の意見にしたがってしまうことを「情報のカスケード」といいます。
たとえば、2軒のレストランのうちどちらかを選ぶときに、なんとなくお客さんの入っているレストランを選んでしまった経験はありませんか。そのレストランや店を選ぶ理由はないのに、情報のカスケードによって「お客さんがいるからおいしいに違いない」と勘違いして、同じレストランを選んでしまったのです。周りの人と同じ行動をしたほうが安心ですからね。
新NISAでオルカンやS&P500への投資が急増したのは、まさにこの情報のカスケードによるものが大きいでしょう。「多くの人が投資している」と言われれば、その投資先の良し悪しよりも「多くの人が投資しているのだから、良い投資先に違いない」と判断して投資をしてしまいます。
ところがオルカンは、全世界株とはいえ日本株の割合が数%なのでほぼ外国株。S&P500は米国株100%です。外国株は、リスクが比較的高い投資先です。それにもかかわらず、多くの人が投資しているからといって、リスク許容度の低い人もこぞってオルカンやS&P500に投資しているのが現状なのです。
こうした「ハーディング現象(横並びの行動)」はバブル相場を生み出すきっかけになります。投資先は人に流されることなく、自分で判断して決めるようにしないと、意図せずお金を大きく減らすことになりかねません。
ハーディング現象と似たものに「バンドワゴン効果」があります。バンドワゴン効果は、多くの人が支持している物事に、さらに支持が集まることをいいます。
株も多くの人が「欲しい」と思って買うことで値上がりします。バンドワゴン効果によって買いが集まれば、株価が一段と値上がりすることもあるでしょう。しかし、「早く買わないと」と飛びついたところで高値つかみになって、以後は値下がりしてしまうことも考えられます。短期間の流行で値上がりした銘柄は、流行が過ぎると短期間で値下がりしてしまうことも多いものです。
その資産・商品は本当に価値があるものなのか、長期的に右肩上がりになるのかと冷静に分析してから投資行動を取ることがもっとも重要です。
