地方企業ほど従業員の高齢化

この現象には地域差もあります。地方にある企業は一般的に従業員の年齢層が高く、大都市圏の企業は相対的に若い傾向にあります。さらに、新型コロナ禍でリモートワークが普及して、地方在住者が大都市圏の企業で働くことができるようになったため、地方企業従業員の高齢化がより顕著になっています。地方では大都市圏よりも若手人材の確保が難しいことも相まって、ミドルシニア層の採用に積極的にならざるを得ない状況になっているわけです。

「激戦区の東京にこだわらず、千葉、埼玉、神奈川に範囲を広げれば、選択肢が大幅に増えます。企業規模についても中小企業に目を向ければ、大手企業での経験が高く評価されて、『モテモテになる』可能性もあります。それに、中小企業は定年制度が柔軟で、70歳まで働ける企業も少なくありません」

企業規模については、小さい会社には小さい会社なりのよさもあります。たとえば、「職場における自分の役割は重要だと感じている」60代の転職者は半数以下(図表4参照)ですが、実は50代後半の転職者では4割にも達していません。会社が小さければ小さいほど、そのような思いを抱くことは少なくなるはずです。会社の規模や知名度にこだわることには、さほど意味がありません。

40~70社の応募が必要だとすると、業界、勤務地、企業規模の選択肢をどれだけ広げられるかを、早期に検討する必要があります。

4.キャリアの棚卸しと市場価値の発見

当然のことながら、50代、60代はポテンシャル採用というわけにはいかず、即戦力採用です。自分は何ができるのかを、的確にアピールする必要があります。

「本人が自分のキャリアの中でセールスポイントだと思っていることと、企業が魅力を感じることとは、結構異なっているものなんです。求職者が『自分のメインの仕事ではない』と考えている経験が、実は市場で高く評価される場合があります。たとえば、あるシステムの導入経験や、ニッチな法規制への対応経験など、一見すると汎用性が低そうな経験が、特定の企業にとっては喉から手が出るほど欲しいスキルだったりします」

50代、60代に限らず、キャリアの棚卸しが極めて重要です。しかし、昨今は「キャリア自律」が強調されていますが、50代、60代社員の多くは、キャリアを自分で考えることに慣れていません。自分に社外で通用する専門性やスキルがあると考えている人は、次の通りです。

・50代後半の継続勤務者55.6%、転職者59.5%
・60代前半の継続勤務者59.4%、転職者65.2%
・60代後半の継続勤務者64.9%、転職者66.4%

各年代とも、継続勤務者よりも転職者のほうがやや高くなっていますが、大差ありません。いずれにしても6割前後に過ぎません。おそらく自分の専門性を的確に定義できていないのです。