2.応募社数が決めてになる
厚生労働省「令和5年雇用動向調査」によると、50代後半~60代前半の転職入職率は、55~59歳男性が6.6%、女性が7.6%、60~64歳男性は13.5%、女性は7.6%です。
転職入職率とは、常用労働者数に対する転職で入職した人の割合です。図表2のサンプル数を見ても継続勤務1015名に対して転職61名ですから、50代後半の転職入職率は6~7%と見てよさそうです。
60代前半の数値が高くなっているのは、「同じ会社による定年後再雇用」が含まれているためです。定年後再雇用による転職入職率は公表されていませんが、それを除くと、60代前半の転職入職率はおそらく50代後半の数値以下だろうと思われます。
50代後半以降の転職は狭き門です。ただ、若い人であっても数社に応募しただけで転職が決まることは稀なようです。若年層も含めて、2024年にdodaを利用して転職した人の平均応募社数は、エージェントによる書類応募を合わせると32社で、半数近くの人が21社以上応募しています。
数字のうえでは、「1社以上の内定を得るためには、5社の面接を受ける必要があり、そのためには26社の求人に応募する必要がある」ということのようです。
ちなみに、関東地区の40代以上の平均応募社数は、営業職41.2社、企画・管理職39.5社、クリエイティブ職41.6社、技術職(IT/通信)40.9社、事務・アシスタント職41.9社と、多くの職種で約40社です。
50代以降になると、40~70社、人によっては100~200社への応募が必要なこともあります。応募社数がKSF、重要成功要因になっています。転職活動期間は一般的には3カ月ですが、50代、60代では4カ月以上かかる人が3割程度、さらに長期にわたる人も1割程度。ただし、これは、求職者が年収、勤務地、企業規模、業種などの条件を早期に現実的なレベルに調整できるかどうか、「目線下げ」のタイミングに大きく左右されます。
つまり転職するなら、3~4カ月で40~70社に応募するつもりで臨む必要があるということです。場合によっては持久戦になります。かなりの気力・体力が必要です。
3.現実的な選択肢を広げる
50代、60代にとっては、不動産、サービス業、建設業のように65歳以上が活躍している業界と、たとえばIT業界とでは転職の難易度に雲泥の差があります。中には「65歳以上がほとんど働いていない業界」もあり、同業界ではなく、65歳以上が活躍している業界に目を向けることが必要です。
65歳までは継続雇用義務があるため、どの業界でも60代前半社員が働いていますが、60代後半社員が働いていないということは、基本的に高齢層の社員を雇用したくない企業だと考えられるからです。
従業員の平均年齢は、応募者の年齢に対する許容度のバロメーターになるようです。
「たとえば先日、地方にある従業員1000人規模の企業で55歳の求職者が採用されたんですが、人事部長は、『平均年齢が57歳なので、55歳はまったく気にならない』と言っていました。そこでは、55歳は『中堅ぐらいだね』という感覚なのです」
