※本稿は、釜本莉奈『選ばれ続ける人だけが知っている言いかえの作法』(日本能率協会マネジメントセンター)の一部を再編集したものです。
どんな相手でも“本音を引き出すつもり”で
仕事をしていると、「なんで言った通りに動いてくれないんだろう?」「早く確認してほしいのに、なかなか見てもらえない」とイライラすること、ありますよね。どうすれば、あなたが普段の業務でイライラに支配されず、かつ相手を動かすことができるのか……そのために必要なのが「きく力」です。
きく力を鍛えると、部下の指導をする時、上司に意見を伝えたい時のコミュニケーションが一気にスムーズになります。
「きく」には3つの種類があります
・聞く(hear):ただ耳に入る
・聴く(listen):意識して注意深くきく【共感・あいづち】
・訊く(inquire):相手の意図を深掘りして尋ねる【質問・確認】
このうち、「聴く」と「訊く」を意識して取り入れていきます。ポイントは、相手の本音を引き出すつもりで、きくこと。苦手だなと感じる相手でも、本音で話をしてもらうと、案外誤解に気が付くこともあるものです。
本稿では、相手の本音をうまく引き出すことで、あなた自身の感情をコントロールする言いかえをみていきます。
「遠慮しないで」より「気になっていることは何?」
○ 今、一番気になっていることは何ですか?
相手のイライラや焦りを感じると、人は警戒モードに入るので、余計に話を切り出しにくくなります。そこで更に、「何でもいいから正直に言ってよ」「遠慮しなくていいから」と言葉を重ねてしまうことがありますが、これは完全に逆効果です。
ここで、イソップ童話の「北風と太陽」を思い出してみてください。北風と太陽が旅人の上着を脱がせる力比べをします。北風は力ずくで風を吹かせますが、旅人は上着をしっかり押さえ、脱がせることはできません。
次に太陽が旅人を暖かく照らすと、旅人は自ら上着を脱ぎ、太陽が勝利するというあのお話です。力ずくで相手を動かそうとするよりも、穏やかなアプローチが効果的であるという教訓は、本音を引き出したい時にも大活躍します。
「何でもいい」「遠慮しないで」という言葉は、受け手にとっては「正解が見えなくて怖い言葉」でもあります。まるで北風のように強くて冷たい風を、相手に吹きかけているようなもの。風が強くなればなるほど、本音を引き出すことは叶いません。


