炎上を招いたテーマ設定の盲点
そこまでのリスクを背負ってまで、特定の意見に寄った活動を学習テーマとすることが本当に修学旅行として適正だったのか。これは同志社国際高校が学校として大きく責任を負うべき点です。
どのような意図をもって平和学習のテーマを設定したか、その理由が何であったとしても、その選択がこの上なくリスキーであり、ひとたび緊急事態が起こったならば今回のように瞬時に大炎上するという「リスク評定」ができていなかったことについて、会見においては納得のいく説明がないように私は感じました。
学校として、企画者、決裁者など複数のプロセスを経て実行に移されたはずの修学旅行事業において、学校には危機管理の視点や疑義を差し挟む機能がなかったと言わざるを得ません。
事故発生時だけでなく、学校のレピュテーションリスク(※)や炎上リスクも考えた危機対応ができなかったゆえに、こうした政治リスクを自らが招いてしまったと考えます。
※レピュテーションリスク……企業に対するネガティブ・否定的な評判や噂が広がり、ブランド毀損、顧客・取引先の離反、売上減少などの経済的損失を被るリスク
この日の会見では事件の調査のための第三者委員会設置が報告されました。原因究明は欠かせませんが、問題はこの事件がこのまま何となく収束しそうにないという点です。
事件が政治的色合いを帯びてしまったことで、単なる「学校の事故」とは別扱いで、この先も注目と批判が続く恐れが高いでしょう。政治的リスクの問題点は、同様の事案、似たような政治問題がある度に注目がぶり返す可能性にあります。
名門校が直面する信頼回復への険しい道
レピュテーションリスクの恐さは、影響が長く残ることです。辺野古基地問題は完全解決にまでまだまだ時間がかかりそうですし、「反対運動への批判」も時としてニュースになります。
全国的な有名大学・学校法人同志社の系列校ということで、受験や入学卒業など、世間の学校行事やイベントがある度に、この事件が蒸し返される可能性もあります。
本事件は単なる系列校の事故ではなく、同志社大学・学校法人本体をも揺るがしかねない大きな問題になる恐れがあります。有名大学のトラブルはネットニュースになりやすく、「同志社」の名が絡んでいるというだけで注目は続くからです。
高校生の人命まで失われたという事実は重く、事態収拾は非常に厳しいものになるでしょう。今から何かできることがあるとすれば、この第三者委員会での対応かもしれません。
事件の原因究明だけにとどめず、政治リスクを正面から取り上げ、会見で述べられた「過去の継続(慣性)による事故発生」という危機管理の欠陥を、根本的に改善することをどこまで厳格に発信できるか。
今回批判を呼んだ、一方的に偏ったといわれている政治的スタンスから決別し、中立で公正な学校教育実現を果たすという「出直し的、過去との決別宣言」まで踏み込むことが、事態の収束には欠かせないのではないでしょうか。


