暴力は「外注」、カネは徹底して現金

清水さんが取材で見たナチュラルの特徴は、暴力と金の扱い方にも表れていた。

まず暴力について。ナチュラルは暴力団のような明確な暴力装置を組織内部に持っていない。例外的に大きなトラブルが起きれば暴力団に金を払って対応を「外注」する。

「暴力の組織をイチから作るのは手間もかかるし人材も必要。だったらお金を払って外注する方が合理的だ、という発想。金で解決できるなら金で解決する。そこは本当に現代的です」

一方、金の流れは徹底してアナログだ。クレジットカードも電子決済も一切使わない。銀行口座を持たず、全国の風俗店からの集金は専門の「集金課」が出向く。給料も路上での手渡し。配車アプリもSuicaも使用禁止。防犯カメラの位置を把握して徹底的に避けながら移動する。

世の中がキャッシュレスに向かう中で、意図的に現金に回帰している。足がつかないためだ。稼いだ現金は金(ゴールド)に換えて保管することもあるという。税金は一切払っていない。

「こっちがびっくりするぐらいの現金主義。会長も逮捕前にホテルに三十何泊分を現金で前払いしていた。今どきそんな客はいないので、従業員も覚えていたそうですけどね」

清水將裕、日本橋グループ*『捕食 欲望をカネに変えるトクリュウ型犯罪集団「ナチュラル」の闇』(講談社)
清水將裕、日本橋グループ*『捕食 欲望をカネに変えるトクリュウ型犯罪集団「ナチュラル」の闇』(講談社)

捜査する側からすれば、口座の記録もデジタルの痕跡もなければ、収益の全体像を把握すること自体が難しい。清水さんは「それが捜査を困難にしている大きな要因だ」と指摘する。

清水さんは、この組織を犯罪集団として告発するつもりで書いたわけではないという。

「ナチュラルを攻撃するというよりは、こういうものを社会が生み出している現状や背景を描きたかった」

ナチュラルだけを叩いて排除しても、また次のナチュラルが現れる。清水さんはそう考えている。では、この問題の根はどこにあるのか。後編では、ナチュラルに「捕食」される女性たちの実態と、清水さんがNHK時代からこの取材に挑んだ理由を聞く。(後編に続く)

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