「昼の人材紹介業と何が違うのか」
(前編から続く)
ナチュラルのメンバーたちは組織を「会社」と呼び、自分たちの仕事を犯罪だとはあまり思っていない。清水さん自身、取材を重ねるうちにある認識に至ったという。
「やっていることは人材紹介業なんですよ。昼の世界でやっている人材紹介やヘッドハンティングと、やっていること自体はそう変わらない。それを夜の世界でやっている。ただ、やっかいな人間も絡んでくるので、暴力を使う場面もあればカネで解決する場面もある。もちろん法的には違法です。でも、これが絶対悪かと問われると、そうとも言い切れないところがある」
風俗店は女性を必要としている。女性の側にも、短期間で高収入を得たいというニーズがある。その間を取り持つ存在がなければ、業界は回らない。清水さんはそう見ている。
「全部なくせば解決かというと、そうじゃない。結局、次のナチュラルが出てくるだけ。警察だけに責任を負わせるのも酷で、もっと上のレベルで、政府や行政機関も含めて、この問題を社会全体で考える必要があると思います」
「捕食」される女性の本音
書名の「捕食」には、清水さんのこんな認識が込められている。
「若者も捕食されている。書籍に登場するナチュラルのスカウト『佐伯』(偽名)も、組織から見れば捕食された側です。でも彼自身も女性を捕食している。連鎖しているんです」
書籍では、スカウトを介して風俗業界に入った複数の女性が登場する。歯科衛生士だったアリサ(源氏名)は、専門学校時代の友人に誘われて歌舞伎町のホストクラブに足を踏み入れた。担当ホストに入れ込み、月に100万円を超える額を使うようになった。歯科衛生士の給料では到底足りず、消費者金融から借金を重ねた。
借金が膨らんだアリサに友人が紹介したのが、ナチュラルのスカウトだった。スカウトはアリサに都内のデリヘルを紹介した。だが、そこではホストの要求に応えられず、彼女はスカウトに「もっと稼げる仕事ないかな」と相談。最終的に九州のソープランドを選んだ。「出稼ぎ」という形で、短期間に高額を稼ぐことを決めた。アリサは歯科衛生士を辞め、都内と九州を行き来する風俗一本の生活に入った。


