人の役に立っているから、きっといいことがある

石川さんは「YS BLADES単体でもしっかり利益が出せるようにしたい」と意気込む。そのためには海外展開が必須だと考えている。国内ではすでに多くの選手が使用し、飽和してきているからだ。日本の人口減少も考えると、今後の伸びはあまり期待できない。山一ハガネでは海外の展示会に参加し、今後の展開を見すえている段階だ。

しかし、現在の生産能力は月に30足で、つくった分だけ売れている状況。海外進出を考えると、設備投資して増産する体制を整えなければいけない。寺西社長は本業とのバランスも考えつつ、投資のタイミングを検討している。

社内にはメダリストたちのサインが掲げられている
撮影=中谷秋絵
社内にはメダリストたちのサインが掲げられている

かつて、トップ選手たちが数週間ごとに交換せざるを得なかったブレードは、YS BLADESに替えることで2~3年使い続けられるようになった。当然購入の頻度は下がる。

「全然買い替えてくれないんでね。私たち、商売が下手なんですよ」と、寺西社長と石川さんは声をそろえて笑った。

「でもね、将来絶対にいいことがあるなって思いますよ。人の役に立ってますから」(寺西社長)

寺西社長は「アイミタガイです」とつぶやいた。「相身互い」とは、人が助け合い、それが巡り巡って元に返ってくるという意味だそうだ。人の役に立つ仕事が、いずれ山一ハガネに返ってくることだろう。

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