あと5年早く出会えていたら……

難しかったのは、形が完成した後のメッキ加工だ。スケートブレードはメッキ加工をしないと錆びてしまうため必須の工程だが、通常、特殊鋼にメッキを乗せることはない。専門業者ですら、特殊鋼に施した経験はなかった。

業者とともに試行錯誤を重ね、現在は「ある程度はできる」ようになったレベルだという。今も最適を探して模索を続けている状態で、「今日も、この後メッキ工場に行くんですよ」と取材した日も石川さんは出かけて行った。

小塚選手は2013年の全日本選手権に、まだ開発途上だったブレードを履いて出場し、3位入選。山一ハガネの寺西基治社長は「初めてテレビで滑ってるのを見たときは、心臓が止まるかと思った」と、その時の緊張感を振り返る。