ロシアではいま、賞味期限切れの食品で食いつなぐ人が現れている。極東ウラジオストクでは、女性が1年近く期限切れ食品ばかりで暮らしていると現地メディアが報じた。ウクライナ戦争の戦費と物価高が家計を直撃しているためだ。プーチン大統領は物価を「想定内」と公言するが、実際の生活はまったく異なると海外メディアは指摘する――。
2026年2月26日、モスクワのクレムリンで開催されたロシア・ベラルーシ連合国家最高国家評議会の会合に出席したプーチン大統領
写真=©Sergei Bobylev/TASS via ZUMA Press/共同通信イメージズ
2026年2月26日、モスクワのクレムリンで開催されたロシア・ベラルーシ連合国家最高国家評議会の会合に出席したプーチン大統領

期限切れ食品以外では「食べていけない」

ロシア極東のウラジオストクに住むナターリヤさんは、もう1年近く、賞味期限切れの食品ばかりを食べて暮らしている。

自宅近くの路面販売で買うパンは1斤60〜70ルーブル(約80〜90円)、野菜は一袋20ルーブル(約26円)。肉は2キロで100ルーブル(約130円)と格安だ。

どれも正規の店頭には並ばない品物だ。店でロシアの水餃子ヴァレーニキの材料を揃えれば約860ルーブル(約1120円)ほどかかる。

彼女は独立系ロシア語ニュースサイトのメデューザに、「最初は本当に不快だった」と語った。「でも慣れるしかない。ほかに食べる方法がないから」

ウクライナへの全面侵攻から、4年。プーチン大統領が始めた戦争は、戦費で連邦予算を圧迫し、政府は付加価値税(消費税に相当)を20%から22%に引き上げた。

乳製品は2年間で41%急騰

ロシアでは物価の上昇が加速する一方だ。

英公共放送のBBCは2019年以来、モスクワの大手スーパー「ピャチョロチカ」で基本59品目を購入する継続調査を行っている。これらを購入した場合の買い物かごの総額は、2年前から実に18.6%も値上がりしたという。

2024年に7358ルーブル(約1万4700円)だったものが、2026年1月には8724ルーブル(約1万7500円)に膨らんだ。上昇率は、ロシア連邦統計局ロスタットが公表した同期間の食品インフレ累計18.1%ともほぼ一致する。

なかでも乳製品は2年間で41%も上がった。高金利と人手不足で農業コストが高止まりし、酪農を直撃している。経済制裁の中、輸入頼みの果物・野菜も15%上昇した。

足元では上昇ペースがさらに速まっている。BBCが伝えるロスタットのデータによると、2026年初頭のわずか1カ月足らずで物価が2.3%上がった。

値上がりは肉、乳製品、小麦粉、ジャガイモ、パスタ、バナナといった食品を中心に、石鹸、歯磨き粉、洗濯洗剤、さらには多くの医薬品にまで及んでいる。