小売店に「得意な役割」を担ってもらう

そこで、「エージェント制度」をつくりました。卸業者さんや小売店さんにアスクルのエージェントさんになっていただき、お客様の開拓をしていただいたのです。

エージェントさんがお客様にアスクル利用の申し込みをしていただき、お客様がアスクルに注文すると、注文金額の一定割合がエージェントさんに入る仕組みです。

また、お客様の与信・回収の役割も、エージェントさんにになっていただきました。小売店さんは地域密着でビジネスをしてきているので、地域の中小企業に対する営業活動や与信は、アスクルよりも得意です。

それぞれに得意な役割を担っていただく「機能主義」も、ビジネスモデルの構築で意識したことのひとつです。

小売店さんにとっても、従来の販売方法からは変わるものの、営業活動と回収という強みを活かして、新たなビジネスモデルで商圏を拡大することもできるので、ビジネスチャンスでもあったはずです。小売店さんとの共存共栄をはかるという意味で、これも「社会最適」といえるのではないでしょうか。

このようなビジネスモデルを構築したことが、アスクルの大きな強みとなりました。

エージェントさんがお客様を開拓し、与信管理、代金回収の機能を担ってくださったことで、お客様への販売代金を回収できないなどのトラブルにあうこともなく、利益を安定的にあげられました。

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