まとまりに欠ける新興国

【渡瀬】BRICS、特にインドの役割についてどう思われますか?

【フライツ】インドはBRICS諸国から距離を置き始めていて、脱ドル化やBRICS通貨の導入を否定し、中国の主導権に傾くことを避けようとしています。

BRICSグループには、さらに悪い知らせがありました。2025年7月にブラジルで開催されたサミットに、中国の習近平国家主席が初めて出席しなかったのです。これは、BRICSグループにとって重大な後退だと思います。

BRICSのコンセプトは当初からよい案ではありませんでした。中国の通貨を基にした新たな準備通貨に基づく代替経済システムを構築する、というものです。これは夢物語にすぎません。

さらに悪いことに、トランプはBRICS加盟国に対して制裁と関税を課そうとしています。BRICSはすでに衰退傾向にありましたが、トランプはそれでも追い打ちをかけるつもりです。

あえて危ない橋を渡ったトランプの覚悟

【渡瀬】インドは西側や自由世界の味方だと考えますか。

【フライツ】インドはますます強力なアメリカの同盟国になりつつあります。トランプとモディ首相は良好な関係を築いています。これが、インドがBRICS協定から距離を置き始めた理由の一つかもしれません。非常に有望な状況です。

インドは中国と非常に複雑な関係にあり、トランプはこの点を活用しようとしています。トランプとモディの関係は、米印関係だけでなく、グローバルな安全保障にとっても大変前向きな兆候です。

インドのモディ首相と会談するトランプ大統領
インドのモディ首相と会談するトランプ大統領(画像=Dan Scavino/PD-U.S. federal government/Wikimedia Commons

残念ながら、2025年8月にトランプ大統領がインドがロシア産原油を購入しているために50%の関税を課したことで、米印関係に問題が生じました。米国がこうした制裁を発動したのは、インドのロシアからの原油購入が米国のウクライナ戦争関連制裁に違反したためです。多くの専門家は、トランプがこうした制裁を発動することでモディとの良好な関係を危険に晒すことに驚きました。

しかしこの決定は、トランプがウクライナでの殺戮を終わらせるための確固とした決意を示しました。トランプのインド関税決定はプーチンの注意を引いたようで、このひどい戦争の停戦合意を迫る圧力となることが期待されます。