プロよりサルのほうがお金を増やせる?

【大橋】それってNISAで買うやつですよね。

たしかに「S&P500だけ買えばいい」「オルカンだけ買えばいい」ってよく聞きますけど、なぜそれがいいんでしょう?

【橘】まず、おさえたいのは、誰も株価を当て続けることはできない。という事実です。

これを裏付けるために、ものすごく悪意のある実験が行われています。

それは、上場している企業の一覧を壁に貼り、そこにチンパンジーにダーツを投げさせて、刺さった銘柄で作ったポートフォリオ(株式の組み合わせ)と、投資のプロが作った投資信託(アクティブファンド)で成績を比べたのです(図表3)。

【大橋】で、どうなったんですか?

【橘】どの銘柄が値上がりするかの専門家の予測は、チンパンジーがダーツを投げたのと同じ程度にしか当たらなかったのです。

なぜ、こんなことが起こるかというと、やはり、誰にも上がる株を正確に当てることはできないからです。

さらに、チンパンジーには手数料を払いませんが、プロには、手数料を払わないといけませんから、必然的にプロが負けるのです。

50年間覆されていない「最強の投資法」

【大橋】誰も上がる株を当て続けられないとしたら、なぜインデックスファンドになるのでしょう?

【橘】難しいので、詳しい説明は割愛しますが、ノーベル賞受賞者も含めた学者たちが、ファイナンス理論として数学的に研究し尽くしていて、インデックス投資がもっともパフォーマンスが良いとされています。

そしてこのことは50年間、覆されるようなことは起きていません。

【大橋】いや、先生。勝手に割愛しないでください! 僕は理系だったんです。そのファイナンス理論ってやつを教えてください。

【橘】では説明します。先ほどもお話ししたとおり、企業の財務をいくら分析しても株価が上がるか下がるか正確に当てることはできません。

1960年代にある経済学者が、株価は「ブラウン運動」という物理法則と同じような動きをしていることに気づきました。

ブラウン運動とは、水面に浮かぶ花粉のような微粒子が不規則に動くことです。アインシュタインは、ランダムな運動は「この範囲に何パーセントの確率で存在する」というように確率的にしか予想できないことを証明しました。これは株価が期待リターン(長期的な傾向)とリスク(値動きの激しさ)で説明できるということです。