感謝の重要性と威力を理解しよう

また、仮にあなたが強い怒りを覚えていて、それを相手にぶちまけたとしましょう。つい感情的になって爆発させてしまいました。こうなると相手への怒りは抑えられずどんどん増幅していきます。「なんだその言い方は⁉ ふざけるな!」というリアクションが返ってきたらもう収まりがつきません。

でも、ここで相手が「……そうでしたか。私としてはとてもショックです。でも、話してくれてありがとうございます」と言ってきたらどうでしょう? それでも変わらずに怒りを爆発させられますか? おそらく難しいでしょう。

ぼくらは、自分に好意を向けてきた相手を嫌うことはできません。感謝はぼくらの対立を解してくれるんです。そして、感謝できる人は好かれる人になります。好かれる人は協力してもらえる人になります。そうなれば、感情的で無駄な対立を避けることができ、仕事はスムーズに進みます。

仕事ができる人は、この感謝の重要性と威力を理解しています。だから感謝を言葉にして伝えることを重視しているんです。

相手の不安に理解を示すこと

相手に感謝することと同時に、もうひとつ大事なことがあります。それが「相手の不安をわかってあげる」ことです。

人は自分の話を聞いてもらいたい生き物です。特に、自分の苦労やマイナス感情を理解してもらいたいと思っています。経済学の父であり哲学者でもあるアダム・スミスは著書『道徳情操論』の中で、こう書いています。

意訳 自分が感じている激しい感情に、周囲が同意・賛同してくれることほど嬉しいことはない。逆に、まったく賛同してくれないときほど悲しく、不愉快に感じることはない。

原文 他人がわれわれの胸中に燃え立つあらゆる情緒に対して同類感情を示すのを見ることほど愉快なものはなく、これに反して、他人が冷ややかになんらかの感情をも示さないのを見ることほど不愉快なものはない」
(アダム・スミス、米林 富男訳『道徳情操論 上』P51、未来社)

大人になると、自分の感情を表に出せる機会が少なくなります。しかし、自分から言えないからこそ、「自分のことをわかってもらいたい」のです。