前知事から被害者を守った福井県

ただ一方、福井県では36歳の新しい知事の下で県条例を改正し、辞職した杉本前知事から退職金6000万円を返納させる動きが具体化している。しかし検察庁では、高額の退職金をもらって辞職し、その後逮捕された北川被告に対して、何の対処もされていない。

特筆すべきは、福井県の場合、杉本前知事から被害を受けた女性職員4人が勤務を続けられるよう、調査報告書で細心の注意が払われていることだ。「声を上げると仕事を失うのではないか」「狭い福井で噂が立ち、家族に迷惑がかかるのではないか」と恐れてきた被害者の不安に配慮している。加害時期も20年と長いスパンを取って被害者の特定を避け、被害者に落ち度はないこと、被害者の怒りや苦痛、恐怖、屈辱感などの精神的ダメージについて詳しく述べ、末尾の付言で、被害者の詮索や侮辱、名誉棄損は許されない、と念押ししている。

知事によるセクハラ事件が起きた福井県庁
知事によるセクハラ事件が起きた福井県庁(写真=Rebirth10/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

被害後も検察に残った女性に…

これに対しひかり氏の場合、勤務を続けるための配慮はほとんどなかった。ひかり氏は2018年に性暴行を受けた後、PTSDが悪化して仕事が続けられなくなり、2023年休職。被害申告を決意し、その結果北川被告が2024年6月逮捕。まだPTSDの症状はあったが、「検事の仕事に戻りたい」と7月から少しずつ復職を始めていた。しかし9月になって、ひかり氏が加害者側と接触しないよう求めていた主治医の依頼が、まるで無視されていたことを知った。北川被告を擁護する形でひかり氏の中傷を拡散していた副検事の存在を知りながら、検察は何も対処せず、ひかり氏が副検事と同じ部署に戻って働くことを看過していたという。

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