“間抜けに倒される愚将”と描かれてきたが…

とにかく龍興は、時代を超えて、今川義元に続いてヒーローである信長や秀吉のために、間抜けに倒される愚将として再生産されてきたというわけである。

この流れが変わってきたのは21世紀に入ってから。おそらくもっとも再評価のきっかけを与えたのは宮下英樹のマンガ『センゴク』であろう。後半は歴史資料を駆使した硬派な作風となった作品だが、前半から登場する龍興は、稲葉山城を追われた後に突如覚醒、謀略家として暗躍し信長を苦しめ続ける強敵として描かれている。

これ自体はフィクションなのだが、この作品が「龍興もそんな愚将ではないのでは?」と読者が一歩立ち止まる機会を与えたのは間違いない。