損失抑止とは逆行する国の動き

つまりこれらのどちらの要因による「損失」であっても、その損失を抑止もしくは緩和するためには、花粉症に適切な医療が早期におこなわれる必要があることは、あらためて言うまでもないのです。

花粉症の治療については昨年同時期の拙記事で述べていますのでご興味の方はご覧いただきたいのですが、本稿では、ここまで述べてきたようなマクロレベルでの影響について、今の政治が逆行しかねない施策を実行に移そうとしていることについて指摘したいと思います。

それは私が以前から指摘し続けている、OTC“類似薬”(しつこいですが私は「OTC本家薬」と呼称。詳しくは記事連載「保険外し政策の深層」をご覧ください)にたいする自己負担増政策、つまり市販薬と同じ成分の処方薬に対し、従来の3割負担に加えて「選定療養」として25%の上乗せ徴収を行う政策のことです。

この政策が対象として挙げている医薬品のなかに花粉症にもちいる抗アレルギー薬が含まれていることは、すでに多くの人がご存じのことでしょう。とくに花粉症でお悩みの方には、それこそ大きな打撃を与えかねない政策です。

内服治療は“早め”が肝心だが…

先ほど受診された患者さんも、多忙でなかなか医療機関を受診できなかったため市販薬でつないでいたものの、出費がきつくなってしまったとのことでいらっしゃいました。来年からの自己負担増についても、当然ながらご存じで、大きなため息をついていました。

鼻をかんでいる女性
写真=iStock.com/west
※写真はイメージです

花粉症の内服治療は、症状がひどくなる前のまだ軽い早期のうちから始めておくのが常識ですが、自己負担増とされることで、できるだけ出費を抑えようとギリギリまで服用を我慢してしまう人も増えることが容易に予想されます。

来年から本当に政策が実行されれば、経済的な事情による適切な治療の遅れや中止のために症状がコントロールできずに苦しむ人が増え、先にお示しした国家的な経済影響が、さらに甚大となる可能性も大いにあり得ることでしょう。

自民党と日本維新の会との連立政権が推し進めようとしている「OTC本家薬」の自己負担増政策をみるかぎり、現政権がこの花粉症によるわが国の経済的損失を、あまりにも過小評価し軽視していると思わざるを得ないのです。