<イランは長年にわたりイスラエルやアメリカの不倶戴天の敵だったが、今回の衝突は今までのものと一線を画している:アルモーメン・アブドーラ>
アメリカ、イラン、イスラエルの国旗
写真=iStock.com/Ruma Aktar
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中東情勢における緊張という言葉は、もはや聞き飽きた定型句のように思えるかもしれません。

しかし、今この瞬間に私たちが目撃しているのは、1979年のイラン革命以来続いてきた旧来の秩序が完全に崩壊し、二度と引き返すことのできない「ポイント・オブ・ノーリターン」を越えた歴史的転換点です。

これは単なる「いつもの緊張」ではありません。中東諸国が数十年にわたり恐れてきた、最悪のシナリオが現実となったのです。

今、何が起きているのか。なぜこれが「最後の一線」を越えたと言えるのか。国際情勢アナリストの視点から、既存のルールが野蛮な力に取って代わられた「6つの衝撃的な真実」を解き明かします。

【真実1】過去25年で最大――かつてない規模の軍事力行使

今回の軍事行動は、単なる報復の応酬ではありません。アメリカとイスラエルが公然と、かつ共同でイランへの全面戦争を開始したことは、10月戦争(第四次中東戦争)や湾岸戦争、イラク占領時ですら見られなかった「歴史上初めての事態」です。

これは、最初から全面戦争を完遂することを前提とした「前例のない合同作戦」であり、以下のような圧倒的な軍事力が中東地域で動員されています。

・総兵力:3万人の兵士(地域内5つの軍事基地に展開)
・海上戦力:空母2隻、駆逐艦19隻による制海権の掌握
・空中戦力:300機の最新鋭攻撃機による飽和攻撃

これほどの軍事力が展開されていることからも、今回の作戦はもはや威嚇の段階を過ぎたことを示しています。これは、イランという国家の軍事的能力を削ぐための限定的な攻撃ではなく、総力戦による完全な破壊を目的としたシアター(戦域)レベルの総動員なのです。

【真実2】外交を隠れ蓑にした欺瞞作戦

今回の攻撃において最も戦慄すべきは、外交がいかに冷酷な「欺瞞」の道具として利用されたかという点です。

攻撃が開始されるわずか3時間前、オマーンの外相は世界に向けて微笑みながら「平和は近い」「イランは核の在庫を放棄することに同意した」と、あたかも外交的解決が目前であるかのような希望を語っていました。しかし、その裏では、攻撃機のエンジンはすでに始動し、ミサイル着弾点の座標は入力されていたのです。

この「周到に計画された殺意」は、外交を平和の手段ではなく、敵を油断させ攻撃を成功させるための「目隠し」として利用しました。これは、国際社会における倫理的な信用が完全に崩壊したことを意味します。

【真実3】戦慄の役割分担――アメリカの「インフラ破壊」とイスラエルの「斬首作戦」

今回の共同作戦において、米・イスラエル連合軍は戦慄すべき役割分担を遂行しています。

・アメリカ:核施設やミサイル基地など、イランの国家存立を支える軍事的・技術的インフラの徹底的な破壊を担当。
・イスラエル:政治および軍事リーダーシップの抹殺(斬首作戦)を担当。

すでにイランのペゼシュキアン大統領の居住施設への爆撃が報じられ、最高指導者の顧問であるアリ・シャムハニの殺害も伝えられています。

ここには国際法や外交官の特権といった概念は存在しません。

アメリカとイスラエルの最終目標は、最高指導者アリ・ハメネイ師の存在そのものを「根絶」することにあります。イスラエルによる攻撃を受けた最高指導者アリ・ハメネイ師と家族の一の殺害はすでに発表されているが、一国の指導部を根こそぎにしようとするこの手法は、国際社会が「野蛮なルール」へと先祖返りした証左です。

【真実4】「戦略的忍耐」の終焉――目的は抑止ではなく「体制崩壊」

かつてのアメリカやイスラエルの攻撃は、イランの「爪を研ぐのを防ぐ(軍備を部分的に削ぐ)」ための、いわば警告でした。それに対し、イラン側も代理勢力を活用し、数時間あるいは数日の猶予を置いて反応する「戦略的忍耐」で応じるなど、破滅的な衝突を回避してきました。

しかし、今回は双方がそのスタンスを放棄しました。イランは今回、即座に反応し、中東に所在する全ての米軍基地を攻撃対象として戦線を拡大するという、前例のない対抗措置を取っています。

アメリカおよびイスラエルによる今回の攻撃の真の狙いは抑止ではなく、イランの現体制打倒です。しかし、イランは多種多様な民族、宗派、文化的背景を抱える国です。体制が崩壊すれば、単なる政権交代に留まらず、国家そのものの分裂と消滅という「存立に関わる脅威」へと直結します。もはや時間稼ぎは通用しない、究極のゼロサム・ゲームが始まったのです。