<冬にだけ気分が大きく落ち込む季節性うつ病は決して珍しいものではない。:ジェイミー・バウアー>
 晴れた冬の日に窓の外を見ている女性
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9時間以上眠ったのに疲れが取れず、冬眠という生き方が現実的な選択肢かどうか考えている最中にこの記事を読んでいるなら、あなたは明らかに冬をやり過ごすのに苦労している。

これはうつ病の一種、季節性うつ病(季節性情動障害。SAD)なのだろうかと疑っている人もいるだろう。

米国立精神衛生研究所によると、SADは大うつ病性障害の一種で、アメリカだけでも数百万人に影響を及ぼしているという。女性のほうが診断されることが多く、どの年齢層にも見られるものだが、20~30歳に最も多くみられる。

日照時間が短く、暗い日々の重さを感じているとき、「春まで何とか乗り切れる」と自分に言い聞かせ続けるのは簡単だ。

しかし、SAD特有の症状に目を向け、それにどう対処するかを学ぶほうが賢明だ。なぜなら、SADは治療できるからだ。

SADを見落としがちな理由の1つは、症状が大うつ病と重なっているためだ。SADとうつ病はいずれも、持続的な悲しみ、活動への関心の喪失、集中困難、絶望感といった症状を呈する。

とはいえ、SADには強い炭水化物への渇望、過眠、体重増加、倦怠感、引きこもりといったSADに特有の特徴もある。

SAD特有の「冬眠のような」特徴と特定の季節に発現するという特徴が組み合わさることによって、SADは他のうつ病とは区別されるのだ。

SADの原因は?

では、SADの原因は何なのか。

まずは日照量の不足だ。研究によると、日光は脳内でのセロトニン生成量に直接影響を与える。そのため、日照時間が減少すると、体内の内部システムは混乱をきたす。

具体的には、体内時計を制御する視床下部は、日照不足によって機能が乱れる。結果、メラトニンが過剰に分泌され、何があっても眠れてしまいそうな感覚をもたらすと同時に、気分を調整する化学物質であるセロトニン生成量が低下する。

次に、活動量の低下だ。SADの場合、運動をしたり外出したりする機会を逃している可能性が高い。午後4時半には暗くなり、外は凍える寒さ。このような状況では、運動や外出は難しいどころか不可能になることすらある。

研究者たちは、今まで好きで行っていた活動ができなくなることが、SADの主因である可能性に気づき始めている。実際、SADに対する認知行動療法は、日照時間の短い季節でも、楽しみや生きがいを感じられる新しい活動を見つけることを支援する点に重点を置いている。

また、ホリデーシーズンであることもSADの原因となりうる。ホリデーシーズンに誰もが楽しい気分になれるわけではないのは、驚くことではない。11月の感謝祭から翌年2月のバレンタインデーまで間、社会的な期待や旅行な家族関係、本心でなくとも「陽気で明るく振る舞う」ことを求められ、文化的圧力を感じるもいるだろう。

家族が地理的にも感情的にも遠くにいる場合や、家族から拒絶されている場合、ホリデーシーズンは孤独感、疎外感、悲嘆を増幅させることとなる。

悲嘆について言えば、大切な人を失ったことがあるなら、冬の祝日はその喪失の痛みを何度も思い起こさせるものとなることがある。

悲嘆とSADは同時に生じ、互いを悪化させることがあるが、臨床的には別個の状態であることを理解することが重要だ。SADの診断基準では、冬季の抑うつ状態がその季節に誰かを失った命日に結びついている場合、それはSADではなく悲嘆であるとされる。ただし、両者が共存し、互いを強め合うことは十分にありうる。