誰にも告げず消えた後輩ライターM

筆者には忘れられない経験がある。30年近く前、親しく付き合い、一時は事務所を共有していた後輩ライターのMが、誰にも告げず消えてしまったのだ。

発端は、Mが仕事をしていた旅行雑誌編集部からの「締め切りを過ぎても原稿が届かず連絡も取れない。所在を知らないか」という問い合わせだった。倒れているのではないかと心配になり、Mの住むアパートの部屋を訪ねると、郵便受けが金融機関からの督促状であふれているではないか。

床に散乱する領収書など
写真=iStock.com/benedek
おびただしい領収書の束がMの自宅にあった(写真はイメージ)

驚きつつ大家に鍵を借りて部屋に入ると床が見えないほどの散らかり放題。高級果物店やブランドショップの紙袋が無造作に積み上げられ、数百枚はありそうな未開封Tシャツ、高級なバッグやコートが押し入れからはみ出している。