高リスクのO型、低リスクのAB型
より大規模な研究でも、同様の傾向が確認されました。調査対象となったコレラ患者のうち、O型が全体の62%を占めていたのです。A型やB型はO型に比べて少なく、AB型がもっとも少ないという結果でした。
これまではわりと「リスクが高め」といわれることの多いAB型が、コレラではもっともリスクが低かったのです。
また、コレラ感染者の家族のなかでも、うつされて実際に発病した人はO型が多く、とくに重症化した人の68%がO型だったという報告もあります。感染しても無症状だった人のO型の割合が36%と低かったことと比べても、O型の重症化リスクが高いことがうかがえます。
さらに、コレラ菌が出す毒素を無力化するためのワクチンに関しても、O型の人はほかの血液型と比べて効果が出にくい傾向があるとされているのです。
なお、O型の人がコレラに感染しやすい理由としては、コレラ菌の表面にあるO抗原と、O型の人の赤血球にあるH物質に何らかの関係があると考えられていますが、まだはっきりとしたメカニズムは解明されていません。
胃酸を中和しながら棲みつくピロリ菌
ここまでの説明で、「もしかすると、O型は胃腸の感染症に弱いのでは?」と、思われた方もいるかもしれませんね。
感染症としてご紹介する「ヘリコバクター・ピロリ」、いわゆる「ピロリ菌」も胃に関係しており、O型の人が感染しやすいことがわかっています。
ピロリ菌は、胃の粘膜に棲みつく細菌です。胃は強い酸である胃酸に満たされているため、かつては「細菌が生きていられる環境ではない」と考えられていました。
しかし、ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を出すことで、自分のまわりにアルカリ性のアンモニアを発生させ、胃酸を中和しながら生息しているのです。
ピロリ菌の感染経路ははっきりとわかっていませんが、飲み水や食べ物などを介して口から体内に入り、感染するのではないかと考えられています。
とくに免疫力がまだ発達していない幼児期に感染する可能性が高く、大人になってから新たに感染することは稀です。
ピロリ菌に感染したとしても、すぐに何らかの症状が出るわけではありません。しかし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、慢性胃炎などの消化器疾患のある人の多くが、ピロリ菌に感染していることがわかっており、胃がんの発症にも深く関わっているとされているのです。
