ピロリ菌が好む受容体が体内に豊富
30件の観察研究を総合的に評価した「メタ・アナリシス」という解析では、A型のピロリ菌感染リスクを1とすると、B型とAB型は0.7程度であったにもかかわらず、O型は1.2と飛びぬけて高いものでした。
では、なぜO型の人がピロリ菌に感染しやすいのでしょうか。その鍵は、ピロリ菌の表面にある「アドヘシン」というタンパク質にあります。
アドヘシンは、人間の細胞に結合する性質をもっており、数種類に分けられます。そのなかでも「BabA(blood group antigen binding adhesin:血液型抗原結合接着因子)」というタイプは、O型の人に特有のH物質と非常に相性がよいことがわかっています。
H物質は、O型の人の赤血球だけでなく、体じゅうのさまざまな組織に存在しています。もちろん、胃の内壁にある胃粘膜細胞にも存在しており、そこにピロリ菌が結びつきやすくなるのです。
つまり、ピロリ菌が好む受容体がH物質であり、それがO型の人の体内ではとくに豊富であることが、感染しやすさの背景にあると考えられています。
そのため、O型の人はピロリ菌に感染しやすく、しかも一旦感染すると長く体内にとどまりやすいという傾向があります。そこから慢性的な胃炎や胃・十二指腸潰瘍へとつながりやすくなるとされているのです。
日本人とピロリ菌の深い関係
なお、先述の解析でB型とAB型のピロリ菌感染リスクが低いのは、BabAがB抗原に結合しにくいためではないかとされています。
体液に血液型抗原を分泌しないタイプの「非分泌型」の人は、感染リスクが0.7程度と低めになっています。こちらは、BabAが好む血液型抗原が胃の中に分泌されないため、感染しにくくなっていると考えられています。
日本人は世界的に見ても、ピロリ菌の感染率が高いといわれています。とくに高齢の方ほど感染率が高く、60代以上では60%以上がピロリ菌に感染しているというデータもあります。
これは、水道水などのインフラがまだ整っていなかった時代に幼少期を過ごし、ピロリ菌を含んだ井戸水などを摂取していたことが関係しているとみられています。



