AB型の意外な弱点

日本では、「コロナ制圧タスクフォース」として、全国の病院が協力して約2400人の新型コロナウイルス感染症の日本人患者データを詳細に分析しました。

すると、基本的な傾向は世界と同じ――A型の人がO型の人より感染しやすいという結果でした。しかし、酸素吸入や人工呼吸器を必要とするもっとも重篤な症状のケースを分析したところ、AB型の人の重症化リスクが、O型の人と比べて約1.84倍も高かったのです。

これは、年齢や基礎疾患など、ほかのリスク要因を考慮しても変わらない数値でした。世界的には「A型が高リスク」とされてきましたが、どうやら私たち日本人では、AB型の方が重症化しやすい可能性があるのです。

だからといって、AB型のみなさんが落ち込む必要はありません。血液型の違いは、年齢や基礎疾患といった要因ほど大きな影響は及ぼしませんし、O型の人も感染対策を怠っていいわけではありません。適切な感染対策こそが、何よりも大切なのです。

石鹸で手を洗う
写真=iStock.com/Nuttawan Jayawan
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スパイクタンパク質――ウイルスの「侵入兵器」

新型コロナウイルス感染症の感染や重症化のリスクにおいて、なぜこのような血液型による違いが生まれるのでしょうか。その謎を解くために、ウイルスの表面に注目してみましょう。

新型コロナウイルスの表面には、「スパイクタンパク質」という針状の突起があります。その名のとおり、サッカーシューズなどについているスパイクと同様に、細胞と結合する際の滑り止めとして働いています。

では、新型コロナウイルスには、スパイクタンパク質がどのように存在しているのかを見ていきましょう。新型コロナウイルス粒子の外側には、「エンベロープ」と呼ばれる脂質膜(脂肪でできた膜)があり、その表面に24~40個のスパイクタンパク質がランダムに配置されています。

インフルエンザウイルスにもスパイクタンパク質はありますが、比較的硬く、動きに柔軟性がありません。しかし、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質には「関節」ともいえる部位が3つもあり、それを活かして自由に動き回ることができるのです。

まるで触手のように細胞表面を探り回り、複数のスパイクが協力して1つの細胞に取りつくことも可能です。