「健康」は人生の目的ではなく手段

「健康」と「楽しみ」の折り合いの問題は、喫煙に限りません。飲酒でも同様です。医学的には、飲酒は少量でも有害です。それでも私はお酒を嗜みます。健康上のデメリットという「代償」を支払って、飲酒による人生の楽しみという「見返り」を得ているのです。言ってみれば価値の交換で、買い物に似ています。高いと思えば買わない自由があり、安いと思えば買う自由があります。私は少量飲酒による害は許容範囲だと判断しますが、人によって評価は異なるでしょう。

2024年に厚生労働省が公表した『健康に配慮した飲酒に関するガイドライン』は批判されました。国が指針を示したことで、「健康に悪いもの」が排除されるのではないかという懸念が広まったのです。その気持ちはわかりますが、正確な情報提供を行うのは政府として当然の仕事でしょう。そのうえで飲むか飲まないかを決めるのは、個人です。こうした話は、健康によい食事や生活習慣についても同じこと。我慢してまで理想的な食事や生活習慣を行うかどうかは、最終的には個人の判断です。

健康は人生の目的ではなく、人生をよりよく生きるための手段の一つでしかありません。医療者の役割は「正解」を押し付けることではなく、判断材料を示して患者さんの意思決定を支援することです。何を大切にして生きたいのかは人それぞれ。正確な情報を踏まえたうえで、自分自身で納得のいく選択を行うことに大きな意味があるのだと思います。

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