なぜエプスタイン氏と付き合っていたのか

米司法省がエプスタイン文書で公開した、2015年8月に西部カリフォルニア州パロアルトで撮影された写真には、ホフマン氏主催の会食の様子が写っている。

イーロン・マスク氏やマーク・ザッカーバーグ氏らをエプスタイン氏につないでいた?
出典=米司法省
イーロン・マスク氏やマーク・ザッカーバーグ氏らをエプスタイン氏につないでいた?

この写真は「エプスタイン氏にとっての伊藤氏の価値」を端的に表す一枚だ。ホフマン氏によると、このディナーに「エプスタイン氏を呼んでもよいか」と尋ね、実際に彼を連れて来たのが、伊藤氏その人であるからだ。

左端に大きく写るのはフェイスブック(現メタ・プラットフォームズ)最高経営責任者のマーク・ザッカーバーグ氏、さらにテスラCEOのイーロン・マスク氏(右から3番目)、伊藤氏、MIT所属の神経科学者エドワード・ボイデン氏(右端)だ。

また、ここに写り込んでいないものの、現トランプ政権に隠然たる影響力を持つ大富豪で投資家のピーター・ティール氏も参加していた。錚々そうそうたるメンバーである。

エプスタイン氏は2013年9月1日にアラブ首長国連邦の大物実業家スルタン・アハメド・ビン・スレイエム氏に宛てたメールで、「ジョイ(伊藤氏の名前を短縮したニックネーム)は、米テック界で最も顔が広い人物で、MITのメディアラボを運営している我々の一員です」と紹介している。エプスタイン氏にとって伊藤氏が最も信頼のおける仲間と見なされていたことは明白だ。

メディアラボを少なくとも9回訪れていた

エプスタイン氏は大口寄付者としてMITメディアラボから優遇されており、少なくとも9回はラボを訪れていたことが、MITの報告書で確認されている。

下記の写真は、その内の1回において、伊藤氏とメディアラボの職員たちがエプスタイン氏と撮影したとみられるものだ。

エプスタイン氏がメディアラボ内で撮った記念写真
出典=米司法省
エプスタイン氏がメディアラボ内で撮った記念写真

なお、米ニューヨーク・タイムズ紙に寄稿するジャーナリストのアナンド・ジリダラダス氏がメディアラボの女性スタッフ複数に聞き取りを行ったところ、女性好きのエプスタイン氏への接待のような形で「案内させられた」と感じていることが判明したという。

犯罪に該当する行為ではないが、こうした扱いを伊藤氏がどう考えていたのかは興味深い点だ。

メディアラボの使命は「研究者が契約や四半期ごとの利益に縛られることなくイノベーションを育むこと」であり、可能性のあるアイデアを自由に探究できる環境を提供していた。

約90社の企業スポンサーやエプスタイン氏などは、メディアラボの発明をいち早く知る機会を得る対価として会費支払いや寄付を行っていた。その資金によって教員や学生はお金のことを心配することなく、ひたすら研究に打ち込むことができたのである。

細かい制約をつけずにポンと大金を出してくれるエプスタイン氏は、さらに知り合いであるビル・ゲイツ氏などの富豪にも声を掛け、メディアラボへの多額の寄付を引っ張ってきてくれる存在だった。

伊藤氏にとってはまさに「神様」のような存在であったに違いない。