子どものこころの中で起きていること

さて、肝心の子どものこころの中では、何が起きているのでしょうか。実は、「本当は親に頼りたい。けど、やっぱり親はうざい」といった、なんとも複雑で純粋な葛藤を抱えています。はたから見れば「めんどくさい」と思われてしまうかもしれませんが、その子は本気で悩んでいるのです。

だからこそ、大人も「この子、どうしたらいいの……」と悩んでしまうのですが、そんなときこそ「今の子どもとの距離感を見つめ直す」ことを意識してほしいのです。「子どもの歩みを阻むように口を出し過ぎていないか」「子どもの甘えを受け入れずに厳しくし過ぎていないか」と、自分と子どもの距離感を改めて見つめてみましょう。その上で、私のおすすめは「木陰から見守る距離感」です。

子どもの後ろにピッタリ張り付くのではなく、木陰の後ろにそっとしゃがんで子どもを見守り、子どもが頼ってきたタイミングでスッと手を差し伸べる。そして、手を差し伸べたあとはサッと定位置である木陰に戻りましょう。なぜ木陰に戻るかといえば、「やっぱり親はうざい」からです。

どうですか? 超めんどくさいですね? ただ、忘れないでください。「自分って超めんどくさい」と一番悩んでいるのは、その子自身だということを。

学校の庭で泣いている男子生徒
写真=iStock.com/bodnarchuk
※写真はイメージです

反抗的言動をスルーするのは難しい

実際、子どもの反抗的な言動を受ける側も大変です。「またクソババアって言われた」「無視しないでよ……」など、これまで子どもが見せなかった言動を「スルーしましょう!」と言われても……。それができれば苦労はしませんよね。

そんなときは、子どもと少し距離を置いて、あなた自身を休ませることも大切です。子どもの反抗的な言動は適度に受け止めつつも、あなたはあなたで自分を休ませたり、気分転換をしてもよいのです。そうでもしなければやっていけないほど、思春期のお子さんの毎日を支えるのは大変なことです。

少し距離を取ることで、子ども側としてはある程度自分の判断と責任で行動できるようになるため、「あれ? これも大丈夫なの?」と今までの距離感との違いに戸惑いつつも、「もしかして信じてもらってる?」と、遠回しにですが自分を認めてもらっていると感じるのです。この感覚は、子どもの自己肯定感や自立心を育む大きな要素となります。

反抗的な態度を取る子どもに対して、「転ばぬ先の杖」として先回りして支えるのではなく、「転んだ先のオアシス」として、いつでも戻って休める場所でいる。そんな距離感が、思春期における、お互いを尊重し合った関係と言えるのではないでしょうか。