反抗期はあったほうが良いかどうか
では、いわゆる「反抗期」はあったほうが良いのでしょうか、それとも無いほうが良いのでしょうか。この問いに答える前に、私が勤務している児童思春期精神科病棟の現場のことをお話しさせてください。
実はこの「反抗期」という言葉、私の勤める病棟ではあまり耳にしないのです。というのも、この文章を書きながら、ふと「あれ? そういえば使っていないな……」と気付いたからなのですが、これは単なる偶然ではなさそうです。なぜなら、この「反抗期」という言葉は、子どもの反抗的な言動への理解を妨げてしまう可能性を大いに秘めた言葉だからです。
例えば、子どもが「クソジジイ」「育ててくれなんて頼んだ覚えはない」などの強い言葉をぶつけてきたとき、私たち大人は傷ついたり、イライラしたり、落ち込んだりするものです。私自身も、新人の頃に子どもの反抗的な言動に対して「今なんて言ったの⁉」と感情的に反応してしまい、帰りのバスで毎日セルフ反省会を開催していました。バスに揺られながら、「どうしてあんなひどいことを言えるんだろう……」「大人だって傷つくんだからね⁉」「まあ、反抗期だから仕方ないのかな……」と脳内で自問自答していたのですが、もし、あの頃の自分にひとことだけ声をかけられるとしたら、「子どもであっても、理由なき反抗はないんやで」という言葉を贈ります。
まずは反抗の理由を聞くことが大切
「言い訳はいいから」と子どもの話を遮ぎってしまうのは簡単です。しかし、子どもの話に耳を傾けると、「あ、そういうことだったんだ」と納得する瞬間が、意外と、というか、かなり多いのです。
例えば、「あの先生はうざいからもう挨拶しない」と高らかに宣言したAくんがいたとします。このような強気の宣言を受けると、大人は「先生には挨拶しなきゃさ……」とすぐに正論&お説教モードになりがちですが、まず大切なのは「なぜAくんは先生のことをうざいと感じているのか」に関心を向け、理由を聞くことです。
実際にAくんの話を聞くと、その先生にはちゃんと挨拶をしたのに「声が小さい」と何度もやり直しをさせられたそうです。Aくんは「どうして僕の声は先生に届いているのに怒られなきゃいけないの?」と納得できず、「挨拶しましたよ?」と返したそうです。しかし、先生は「挨拶の声は大きくないとダメ」と、理にかなっていない説明を繰り返すばかりなので、Aくんにとってその先生は「うざい先生」になってしまったのです。
