対人折衝・調整業務はなくならない

ところがこうした事務スペシャリストとして括られる仕事に従事する人の数は、それほど多くはないのです。有資格者数を数えても、税理士8万人、社保4万人、司法書士2万人、行政書士5万人、弁護士4万人、会計士4万人、税理士8万人、薬剤師32万人……。

ここまでで約70万人です。この中には、資格は持っているけれど、すでにその仕事をしていない人も含まれます。

天秤に手を添える弁護士
写真=iStock.com/Perawit Boonchu
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士業以外を含めても、こうした「書類作成・申請」業務を主にこなす専門事務職はせいぜい200万人くらいでしょうか。

ホワイトカラー全体からすると小さな領域であり、しかも彼らが全員いなくなるのではなく、せいぜい半数が淘汰される程度でしょう。

一方で、営業や管理部門だと対人折衝・調整業務が主なため、あまりなくなりません。「おもねり営業とか、企画根回しとか、無くすべき仕事はたくさんあるではないか」という批判はごもっとも。

でもそれは、今までだって要らないのに残り続けました。AIの進化程度ではなくせないでしょう。

キーポイントは、自動化ではなく「客にやらせる化」

話が横道に逸れました。さて、本題でもある「現業職領域」での自動化・省力化はどうなるのでしょうか。

ここ数年で、ファミリーレストランでは配膳ロボットが普及し、街中いたるところで無人レジを見かけるようになりました。ただ、こういう省力化は、大してAIを使っているわけではありません。配膳ロボットなど、ロボット掃除機の機能と大差ないわけで、それは20年も前に確立された程度のものでしょう。なのになぜ成功しているのか?

ここに、「人手不足解消」のキーポイントがあります。

それは、「今までだったら店員がしていたサービスを、客にやらせる」ということ。つまり、現段階の自動化とは、無人化ではなく、「客にやらせる=セルフ化」なのです。配膳ロボットは、運ばれてきた皿を机に置くという配膳作業を「客」にやらせている。

無人レジは、レジ打ちも包装も全部客にやらせている。「自動化」という言葉にだまされ、いつの間にか全部、客がやるように変わった。これが大きな変化なのです。

要は、「メカトロ開発にはお金がかかるから、その部分は客の労力を借りる」というフォーメーションに他なりません。これから数年は、「いかにセルフ化するか」が、現業職の人手不足対策のカギとなるでしょう。