振替輸送を使える人、使えない人
振替輸送は、鉄道事業者間の取り決めにより、乗車券や定期券にない他の鉄道ルートを利用できる制度だ。JR中央線が不通になった場合は京王線を使ってもいい。逆に、京王線が止まったときは中央線を使ってもいい、という仕組みだ。関東では大手私鉄、東京メトロ、都営地下鉄、JRがこの制度を持っている。
ただし、客の判断で勝手に振替輸送を選択できない。不通になった鉄道事業者が、その都度、近隣の鉄道会社に要請し、受諾した路線のみ使える。10分遅れたから振替輸送だと勝手に判断してはいけない。たいていの場合、電車が動かないときに発動する制度だ。
振替輸送が始まっても、制度を利用できる人は「定期券」「ICカード定期券」や「紙のきっぷ」を持っている人だけだ。ICカード乗車券の利用者は振替輸送できない。これは「定期券」や「紙のきっぷ」が「目的地まで利用できる権利」を持っているからだ。
ふだん気にかけないことだけれども、定期券や紙のきっぷを買った時点で、鉄道事業者と利用者の間で「運送契約」が成立している。だから鉄道事業者は契約上、目的地に送り届ける義務がある。そのために、ほかの鉄道事業者と振替輸送を取り決めている。事故があったらお互い様。運送契約遂行のために、お互いに協力しましょう、というわけだ。
ICカード乗車券は、鉄道事業者が利用者に「貸与」する契約になっている。ICカード乗車券は改札機から入場するときに目的地を定めない。したがって「目的地までの運送」を約束できない。乗車を放棄する場合に限り、乗車の改札入場を取り消しできる。それだけだ。
混雑解消には乗客の協力が不可欠
電車が停まったとき、テレビニュースで乗客が駅員に詰め寄り、運転再開を問いただす場面を見かけるけれども、何の解決にもならず時間の無駄だ。駅員に詰め寄ったところで現実は変わらない。問いただすべき内容は「振替輸送の有無」だ。
目的地に行きたい場合は、その場に留まってはダメ。乗り換え検索アプリなどで迂回ルートを調べて、通勤経路を切り替えよう。そのときに振替輸送があれば利用すればいいし、振替輸送がなければ自腹で移動することになる。どちらにしても、駅に留まるよりマシだろう。
長時間の遅延は防ぎようがないけれど、鉄道の遅延で最も多い原因は「混雑」だ。混雑が解消すれば、最も多い「10分以下」の遅延は消える。乗客もスムーズな乗降に協力して、電車の定刻発車を維持していこう。


