評価される「裏表」という処世術

だが、上司や他部署の上役は、自分の前の様子しか知らないため、ふだん別人のように振る舞っているのを見ることがない。裏の顔を見ていないのだから、極端な二面性に気づくことができない。だれにも多かれ少なかれ二面性はあるものだし、人の上に立つ人間にはそのくらい見抜く力をつけてほしい、二面性を警戒する心構えをもってほしいものだと言いたくなるかもしれない。

榎本博明『裏表がありすぎる人』(幻冬舎新書)
榎本博明『裏表がありすぎる人』(幻冬舎新書)

「私も当初はそう思ってました。上司なら部下の本性を見抜く目をもってほしいって。でも、調子のいい同僚とかを見ているうちに、それは難しいかもなと思うようになりました。上司にしてみれば、とにかく目の前では感じがいいのだから、気分がよくなるのもわかります。結局見抜くのを期待しても無駄だって思うようになりました」

このように諦め顔でこぼす人もいる。

裏表の使い分けが激しいタイプは、上の人の気持ちをくすぐるような言葉を発するだけでなく、上の人に重宝がられる行動を目ざとく察知し、素早く行動に移すため、実際に上の人は助かる。

見ているのは人の「内面」ではなく「行動」

自分のために動いてくれるわけだから、裏表の二面性に気づかないだけでなく、頼りになるヤツ、自分のために献身的に動いてくれるヤツと思い、好意的に評価することになる。

白い仮面を手に持ったビジネスマン
写真=iStock.com/SPmemory
※写真はイメージです

結局のところ、上の人の目に映るのは、行動であって内面ではない。自分にとって役に立つ行動を取ってくれるのは、だれだってありがたい。それが打算によるものなのか、自分に心から傾倒しているためなのか、それはわからない。

ましてや、陰で自分のことをこき下ろしているのか、あるいは自分のいない場面でも自分に傾倒しているようなことを言っているのか、それを実際にしてくれたことから推し量ることなど不可能である。考えてもわからない裏の意図は棚上げした場合、役に立つ行動を取ってくれて助かるのは事実である。そのため、動機を詮索するよりも、自分の手助けをしてくれる部下を好意的に評価することになりがちなのである。

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